もっと南へ
第二章 青い海
名護の街に朝が来た。
比較的雨の多い沖縄で、晴れが続いている。幸運。
沖縄には鉄道がない。街の玄関に鉄道駅がないという環境がどうも馴染めない。
旅の手段として鉄道を好むというのも一因にはあるが、街の中心が鉄道駅であるという意識の方が強い。
屋我地島から古宇利島へ。2000年の地図にはなかった橋が架かっている。
沖縄の海は遠浅で安定した地盤を持つので橋を架けるには向いているのだろう。
決して人口の多い島ではないと思われるこうした小島にも、長い橋を架けることが出来る。
バイクでそのままビーチの堤防へ乗り付ける。果たせるかな、古宇利ビーチは最高の色を持って迎えてくれた。
遠くに見えるは屋我地島とさらに向こうの沖縄本土。
遠くまでエメラルドグリーンの海が続いている。
歩いても何百メートルも行けそうな遠浅の海。
あくせく走らずにここにステイしてビーチを楽しんだ方が良いのかも。
本土へ戻って北上すれば、なぜか道ばたに山羊が・・・
野生じゃあないわな。放し飼いなのだろう。こういう場所で育つとはうらやましい。
沖縄も北部には林道もある。ビーチとは違った自然がそこにはある。
そのなかに比地大滝。歩いてみるが。
沖縄にこれを求めなくても良かったかな・・・
そしてまた海岸線を北上する。
青い空、そして青い海。
行き着く先が辺土岬。沖縄の最北端にある。
右を向いても左を向いても青い海。
岬を廻って一路南下。東海岸は、開けた西側とは異なって人通りも少なくなる。
そんな東海岸には、天然記念物のヤンバルクイナが生息する。
絶滅の危険が語られている飛べない鳥・ヤンバルクイナは地を走る珍鳥で、それが故に道路を走って交通事故に遭う例が多いという。
・・・俺はどうも横切られることに縁があるようで・・・
ゆっくり走っていた。左の方から何かが横切る!
赤い足はヤンバルクイナのそれだ。
素早く走り抜けた珍鳥の姿をカメラに納めることは出来なかった。見られただけでも幸運だったと言えようか。
タナガーグムイの植物群落に行ってみようと。
グラストラッカーをダートに突入させる。この程度なら問題なし。とりあえず沖縄のダートは走った。
肝心の植物群落だが、あまりに急な崖下りをする必要があった。
カメラ機材など多く持って降りることはちょっと難しい、と見た。
残念だが、ここは自重した。
ガソリンが残り少なくなったことが気がかりだ・・・
東海岸にはガソリンスタンドが無い。計算上あと20km程度しか持たない様に思う。
本来このまま東側を下りたかったが、安全を考えて名護へ抜けることにした。
確実にガソリンを入手しなければどうにもならなくなる。JAF呼ぼうにも、携帯電話すら繋がらないところもままある。
沖縄にひとつだけある高速道路、沖縄自動車道へ乗り入れる。
これも目的のひとつ。最南端の有料道路は制覇した。
沖縄で高速を降り、街を抜ける。
コザの中学校にはシーサーの門番。
「ひと・まち・ゆいづくり」
「ゆい」とは「結い」を示す。結束というか、まあそんなところだ。
・・・コザは、日本ではなかった・・・
至る所にカタカナの看板が並ぶ。
なんじゃこれは?と思っていたらどうやらそれは議員さんのものらしい。
ほかにもいろいろあったのだが、なかにはひらがなの名前の人がわざわざカタカナで書いているものも・・・キャッチフレーズが特に書かれているわけでもなく、ただ単に呼び名が書かれているだけのものがほとんど。
与勝半島から海中道路。
海を分断して砂洲の様に道路が走る。
案外見晴らしは良くないものだ・・・
第三章 華やかな歴史、そして・・・
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