File60 スロットルレスエンジン

 東京モーターショーに出品されていた中に、2輪関係でおもしろい物がありました。
 それは、スズキが展示した「スロットルレスエンジン」です。

 スロットルを使わずに加減速を行うとは?

 スロットルバルブは吸気の通過口径を変えているわけですね。それにより空気量が変わり、燃料の量が変わる。全開だと常に回るだけ回る。
 スロットルを使わないということは開けっ放しですから。どうやってエンジン出力をコントロールしようと言うのか?



 今回スズキが展示したのはスカイウエイブなど用の650cc2気筒の横型エンジンです。



 スロットルの変わりをするのは、インテークバルブです。インテークバルブの開き量を変えれば空気の通過容量が増減する。すなわちバルブリフトを可変させることで制御する仕組みとなっています。
 これは電子制御燃料噴射があってこそですね。燃焼室直噴にする方がより効果があるのでしょう。

 バルブのリフト量を変えるために、カムを3次元的に変形させています。カムの軸方向に対して、山の部分の高さを変えています。
 このカムを、軸ごと動かしてバルブへのあたり位置を変え、リフト量を変えているわけですね。

 位置を変えるのにはネジ軸を使用しています。それをサーボモーターで回してカムのホルダーをずらしているものでした。
 機械屋なら一度は考えたことがあるでしょう。問題はカム軸の加工にあるわけですが、今はNC加工機が良くなっており、この様な加工も難しくなくなってきましたね。



 これは排気側なのでスロットルではありませんから、3次元形状は必要ないですが、光の反射を見るとこちらも少し変化しているようですね。
 曲面カムなので直打ではなくカムフォロワを使用していますが、形状が形状だけに点当たりでしかありません。その点が心配な点です。通常のカムは軸方向が一定ですから線当たりするわけですけど。もっとも、スロットルの様にアクセルに連動して常に動いているものとすれば、当たり位置は変動していますからある程度均一には摩耗するのでしょう。



 比較的搭載位置に自由度があるスクーターには実現速いかも知れませんね。CVTまでトータルで電子制御という手も取れるでしょうし。
 現時点では一般的な機械構造ですが、それだけにこれで実現できるスロットルレスという提案は目から鱗、かな。

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