第二十八回 YAMAHA WR250R

 排ガス規制、騒音規制のさなかにヤマハが投入した入魂のオフロード車、WR250R。
 モーターサイクルショーに初登場した頃はレーサーのデチューンかと思いましたが、何の何の完全別設計の新型車でした。
 排ガスや音の他にも森林の環境も問題になり、走るところも少なくなっているオフロードに今投入されたニューマシンは、31馬力を発生する水冷エンジンを筆頭に、そのスペックで他を圧倒するものでした。



 凝ったデザインはLANZA以降ヤマハの「良くも悪くも」な部分。ライト周りの造形は複雑で、社外品への交換が難しそうですがデザイン的には良し。リヤ周りはノーマル車の「なんだこりゃ」からフェンダーや保安部品を外した状態ではいい感じに見えます。



 あくまでこうすることが前提というわけでしょうか?



 カットモデルがあったので細かに見ていきます。



 エンジンは水冷の直打式DOHC4バルブですね。スカートのほとんど無い薄いピストンは高回転が得意なように見えます。



 燃料噴射を装備しています。スロットルバルブはバタフライで、その直後に燃料噴射インジェクターが。



 排気にもデバイスが。排気ガス清浄用でしょう。
 これらのデバイスのおかげで車両重量が結構重い。



 前足は倒立サスペンション。ブレーキはウエーブディスクで、フローティングマウントです。このカットを見ているとレーサーの写真のようです。



 フレームに一点疑問。メインの角パイプの下面が切りっぱなしです。
 この車両はオフロード、この場所は土をかぶりやすいはず。そんなところが切りっぱなしでいいのか?



 この日は試乗会、タイヤはD756という荒いパターンのもの。



 では、試乗会です。12月、小雨まじりという条件でしたがたくさんの参加者が集まり、早々に試乗受付が打ち切られました。当初3回までと言われた試乗が2回になりましたが、実際には1回しか乗れません。なにしろすごい人ですから。
 ほとんどの人がオフロード装備でしたから、このバイクの期待度がわかります。



 場所は員弁スポーツランド。MX系のコースです。
 そのなかの半分ほどを区切っての試乗会で、この区間の路面は堅く、非常にグリップが良いのでついついスピードが上がります。



 比較的林道テイストな箇所を選んでいますね。小回りやアップダウンの多いコース。



 人によっては飛んでしまう例も。かなり危険なのもありましたが。


 さて、インプレです。

 車両にまたがった感触は、従来のオフ車両とあまりかわりません。少々シート高は高い様です。クラッチは軽く、シフトもヤマハの従来のイメージとは異なる入りやすいものです。ところがそのクラッチをアイドリングのままかるく半クラッチ当てたらすぐエンスト。
 スタート直後にブレーキを掛けてみたら、いきなりロック。フロントがロックしやすくリヤが甘いセッティングはこれもヤマハ伝統ですね。基本はよく効くブレーキです。
 最初の下りから左ターンで2速、クラッチ切らずに曲がろうとしたらエンストしてしまい、危うく転倒するところでした。結構重い感触があるのとともに、極低速での粘りはやや薄い様子。

 少しアクセル開け気味で走ると、これはなかなか、鋭い加速をしますね。パワーは十分にあります。中低速もある様です。
 エンストが続いたので1周目後半はちょっと飛ばし気味に。モトクロスコースなのでバンクが使えますが、安定しています。2周目は、普段通り滑らせてみようと思ったのですが・・・非常にグリップの良いタイヤと路面のおかげで滑ってくれません・・・林道ではこうはいかないので滑らせてみたかった。
 3周目、速度を落としすぎないように1〜2速でスタンディング走行。リーンアウトで小回りしてみましたがこれも抵抗なく曲がります。良い感じですね。ただ、停車直前にまたエンストしましたが・・・3回もエンストするのは調子が悪かったのか?インジェクションですから調整は出来ないでしょうが・・・

 印象は、よく走る。ただ少し低速に難ありか、というところ。



 最大の難点は値段でしょうね・・・

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