第二十七回 YAMAHA SEROW250

 オフロード界のベストセラーのひとつ、セロー。
 長年225ccモデルで続いていましたが、近年ついにモデルチェンジ、250ccとなって新登場しました。

 もともとセローには2つの面があったと思います。
 それは、小柄で足つきが良いことから、女性や小柄なライダーに好まれたこと。
 そして別の顔は、本来のセローのコンセプトである「マウンテントレール」すなわちトレッキング用途。

 それらが新型になったことでどうなったのでしょうか。
 今回は、レンタルで4日間使用した車両でのインプレです。走行は13000kmほど。特に不調という感じは受けなかったのですが、様々な点で不満点を感じてしまったところがあり、やや辛い評価になっていることを承知ください。



 セローのシンボルマークも健在です。ややシャープなデザインになったでしょうか。
 ガソリンタンクは鉄製ですが、プラスチックのシュラウドが取り付けられています。
 ちなみにエンジンは水冷ではありません。シュラウドにしなければならない意味はありません。もちろん導風効果はあるでしょうから空冷にも有効なものかも知れませんが、そもそもマウンテントレールは低速車両ではないか?空力を利用するというのはどうも筋が違うような。
 このシュラウドのおかげで、タンクバッグはとても不安定なものになるのです。こんなもの付けるぐらいならその幅まで鉄のタンクを広げる方が良いはずです。



 その空冷エンジン。250ccになりましたが、フルサイズ車ほどのパワーはもちろんありません。また225cc時代とギヤ比が違うのでしょうか?あの異様なまでの力強さも薄れたような気がします。原因はやはり排気ガス規制なんでしょうね・・・
 そのためか、燃費も良くはありません。北海道の道北〜道東で30kmに届きません。昨年XT250Xは35kmほど走ったので、調子が悪かったのかも知れませんね。
 マフラーは容量が大きいですが、これも規制対策なのか。かなり重そうです。



 顔はこんな感じ。XTの顔に変えても良いかな。シャープなデザインなのに丸目は全体バランス的に違和感を持ちます。
 テールの処理は今風の跳ね上げでないのがかえって好感です。テールランプはもう少し大きくても良いなあとか。
 フロントのスタックバー、リヤキャリヤはあると便利ですね。



 足回りは普通です。フォークの後ろにもフェンダーがあるのはスタイルを優先したためかアップフェンダーの後端がカットされたため。エンジンに当たる風という点ではこの方が優れていますね。ヌタ場へ行くと泥詰まりしますから難所系の人は変えた方が良いか。
 後輪がチューブレスなのは先代末期から引き継がれています。やはりマウンテントレールのコンセプトは捨ててはいないということですね。

 足回りの性能はこんなものなのかなあ・・・
 かなり不安定です。砂利系ダートで速度が上がると、どこへ向いていくのかわからない。13000kmで経たるほどでもなかろう・・・



 シートはXTと若干違う感じ。たぶん細い。足つきを考えたものでしょうか。長距離の対応はやや劣ります。



 バックステップが伝統です。特殊な乗車姿勢になります。大柄な人の場合、どうにも窮屈に感じるはず。前後長が短い車両でハンドルが近く、ステップは後方に高く。
 またその影響で、シフトペダルがリンク式です。このリンクの付いている角度、見るからに嫌いです。力的にもっとリンクとレバーの挟み角を直角に近く配置したいところです。ものすごく中途半端な位置であることがわかりますね。エンジンの搭載位置を最適にしてステップ位置をコンセプトに合わせるとこうするしかなかったのでしょう。
 シフトタッチはあまりよくないですが、それがリンクの所為だとは言いません。もともとのミッションのフィーリングが不明ですから。



 メーターは例の凝った作りのやつ。ちょっとリセットが不便ですが、視認性は良い。ハンドルは狭いかな?操縦性には不満有りません。

 1200km以上走っての結果。
 フラットダートでの走りは、期待していたものが大きかっただけにやや残念な感が強い。しかし、Uターン時に壁を使ってフロントを持ち上げ気味に回せたのは足つきの恩恵に他ならない。やはりこのバイクはそういうバイクなんですね。
 ツーリング用途としては・・・先代の方が良かったのでは。高速道路では3桁出ましたから、高速性能は上がっているでしょう。燃費と特異なスタイルによる荷物の積載性はマイナス。

 もっとも、今は選択できるバイクが無くなっているだけに・・・今後の改良に期待しましょう。改良を重ねて進化してきた先代のように。

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