琵琶をぐるりと
日本で一番大きな湖、琵琶湖。
面積では決して小さくない滋賀県の大部分をしめる。その姿は海と見まがうほど。
ただ、海と大きく違うことが。塩水と淡水、とかいうのはおいといて。
旅人にとっては、湖は周回できるということだ。海にはそれは出来ないことだから。
そんな琵琶湖のほとり、彦根の町は城で持つ。港のあるこの町は今も琵琶湖観光の重要なポイントになっている。
そしてそんな彦根の夏の風物詩。
テレビで長年続けられてきた鳥人間コンテストのテイクオフ地点がここ彦根にある。
近年では対岸まで届こうかというほどの飛距離を競うようになったコンテスト、それは人間の進化ではなく、技術の蓄積によるものであり、物作りに携わる我々の興味を引き続けている。
湖岸道路を北へ向かう。近江富士も遠くに見える右岸は、国道より一本内側に湖岸をトレースするように快適な道が続いている。
やがて湖の北端が近づいてきた。ここを「奥琵琶湖」と呼んでいる。
都を中心にものを考えたとき、いつの時も「奥」と呼ばれるのは北の方。南の方は「下」と呼ばれたり。
塩津は都からの琵琶湖航路のたどりつくあたり。
常夜灯には「海道繁栄」の文字。「うみ」が「湖」ではなく「海」なのはなぜか。
奥琵琶湖を巡る道路があった。その昔は有料道路となっていた奥琵琶湖パークウエイは20年ほど前に無料化され、その後荒れたり通れなかったりすることが多い。
今も土砂崩れの影響で片側通行になっているが、交互通行にするには危険なほどのカーブの連続のために一方通行とされていた。
こうした観光道路は、有料道路のままの方が良いのではないか?と思う。
無料化によって当初は通行量も増えるだろう。しかし、地図の中で有料道路の色を失った道は、記憶の薄れ去った頃に人々を引きつける力をまだ発揮できるのだろうか?この日の奥琵琶湖パークウエイには車の姿は数えるほどでしかなかった。
逆に、いわゆる峠族の住処になっていくところもあり、そのために通れなくなっていくこともまたある。有料道路ならばそんなことも少ないのに・・・
北端を回って南下を始める。
少し湖岸からは離れるが、マキノにはひそかに有名なメタセコイアの並木がある。
琵琶湖の西岸は比較的水辺に近いところを走る。その名も「さざなみ街道」
水辺まで降りることも容易だ。水は思いのほかきれいであった。
道の駅にはこんなところも。
水郷つながりといったところか。
琵琶湖が左右に一番ひろいあたり。完全に対岸は見えない。
穏やかなさざ波が海とは違うところ。また風もべたつかないのが淡水の湖の特徴。
琵琶湖にはいくつもの川が流れ込む。
対して、琵琶湖から流れ出す川は、南端の瀬田川だけらしい。
瀬田川は宇治川、淀川となって大阪湾に注ぐ。海とのつながりがそれだけ薄く、生態系も独特の物ということだ。
湖に立つ鳥居は白髭神社のもの。海でもこういう姿はよく見かける。
白髭神社は猿田彦命を奉る神社で全国にあるが、ここがその総本社だ。
やがて対岸が見えるようになってきた。
南の方はセイリングや釣りが盛んに行われている。
そして・・・
琵琶湖の悪い方のイメージ、それは湖面を埋め尽くす緑色のアオコ。
北の方では見られなかったたくさんの藻が南の岸では大量に寄せられている。
大津の町は琵琶湖航路が北への重要なルートだった時代から栄えた港町。いちばん根元にあたる。
近江大橋を渡る。瀬田の町を右に見て・・・
もうすぐ彦根、琵琶湖一周も終わりです・・・ね。
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