失礼ながらB級
静岡県では、毎年「B級グルメ」の全国大会が行われている。全国からマニアックな料理が集まって振る舞い、投票によりチャンピオンを決定するものだ。
B級チャンピオン。
いかにも怪しい。そんな今年のチャンピオンは、地元静岡県は富士宮市の「富士宮焼きそば」だった。近年有名になり、すでに「B級」とは呼べなくなってきた感もあるが、彼らは「B級」であることを誇りとして大会に臨んでいる。
しからば。
その「B級」を食しにまいろうではないか。もちろんそれはB級の総本山、静岡県ということになろう。
静岡県には他にも「B級」チックな食べ物がいろいろあるようだ。いろいろと食べ歩きするのであれば、自動車は不便だ。電車かあるいはバイクか。
GW前半の好天に恵まれた日。高速道路を東へ向かう。
待ち合わせた高速道路のPAにSがやってきた。バイクはトライアンフ。それもスクランブラー。大型に分類されるバイクだが、オフローダーの俺たちはやはりオフロードテイストを好む。
レンタル故に新車のスクランブラーと、修理上がりでまともに乗っていなかった旧車エレファント。虎と象が日本の大動脈を闊歩する。
東西に長い静岡。走って走って富士山が見えてきた。最初の目的地はB級のメッカ、チャンピオンの街だ。
富士宮の駅前にある案内書で焼きそばマップをもらう。今をときめくB級王者はこの街にある。
穴場を探せるほど「通」じゃない。「お宮横町」なる屋台街に目標を定めた。
まずはSの食指を刺激した「マスバーガー」
これまたなかなかB級。富士五湖のマスなのか。
富士山は火山。溶岩を土産物にしているぐらいだが、溶岩は優れた調理用具にもなる。焦げ付かず油ぎれの良い溶岩で肉を焼く。
さて本題。富士宮焼きそばを食べなくてはここへ来た目的を達したことにはならない。
お宮横町にある「すぎ本」の焼きそばに決めた。
富士宮焼きそばの概要を述べるならば、出汁粉と青のり。それで話は通じる・・・かも知れない。
これについては近年流行の塩焼きそばよりソース味がよく似合う。
B級?
そんなことはない。これはかなりの逸品だ。
デザートも忘れずにね。
さて、次のB級は静岡おでん・・・の予定・・・だったが、温泉好きの俺たちが温泉に入らずに1日のツーリングを過ごすはずがない。
温泉は静岡でも山岳地帯に多いので、ここはひとつ温泉へ横道をそれてみようという腹だ。電車ではなくバイクを選んだ俺たちにとって、ごく当たり前のように計画は変更される。
ダートの峠道を走って温泉へ着いた。ビッグオフの本領発揮。
途中の写真は、無い。
なぜならば。
寝た子を起こして突然長旅に連れてきたエレファント。調子の良かったはずのクラッチが林道の途中でスカスカになってしまった。
温泉までは問題なくたどり着いたが、すでにクラッチは切れなくなっていた・・・
さて、どうしたものか。
温泉に入って作戦を練る。どうせ慌てたって結果は同じだ。
ここはSに運命を託した。動けるバイクで下界まで降りて、クラッチフルードを入手してもらうことに。
その間に車載工具でクラッチカバーを分解する。旧型のヨーロッパ車ならではの豊富な車載工具はこうした緊急事態にも対処できる。
幸いピストンのOリングは生きているようだ。フルードを補給しながら酷使を避ければ行けるだろう。
Sが帰ってきた。ガソリンスタンドにはDOT3しかなく、バイク屋を紹介してもらって備品をわけてもらってきた。感謝。
どこまで行けるのか。
案外問題なく海辺まで降りてきた。トラブル対策で費やした時間のために静岡おでんはあきらめることに。
高速道路でバイクを交換してみた。
スクランブラーは2気筒の900ccクラス、馬力はちょっと少ないが軽い車体と新しい世代のエンジンで軽快な加速を見せる。静かで振動も少なく・・・
ただし、高速道路を走るには風が、な。
カウルのないバイクはオフローダーにとっては別に当たり前なのだが、そこそこスピードの乗る大型には少々アレだ。
そういえば往路。先行していたのは基本的に俺。巡航速度は無理できないタイヤのために遅かったが、ひとたび前車が溜まると加速力で一気に抜き去っていた。そのたびに少し間が広がっていたのだが、パワー云々よりも風だよな、問題は。
そろそろ交代しようぜ・・・
PAへ入ろうと速度を落とせば追い越して行きやがる・・・
静岡の西のはずれ、浜松で途中下車。
この街は超A級の「うなぎ」があるが、なかなかどうしてB級も負けてはいない。
この日、西へ遠征していたO氏と浜松駅下で落ち合った。
アフリカ象を加えた猛獣3頭が浜松の街を行く。観光案内所のお姉さんのお薦めの店へ。
浜松餃子がB級なのはこのメニューが要因か。
50個!
なんちゅう漢なメニュー。
ていうか、それ頼むかよ・・・
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