第二十六回 TRIUMPH スクランブラー
近頃ビッグオフという分野も少なくなってきました。日本製はすでに絶滅に近くなっています。
逆に外国製については、新しいものも出てきています。
ここ1、2年は特にオフに振ったものが多くなっていますが、実際に乗るには便利ではない。大型車では99%近く舗装路を走るのではないでしょうか。なのでダートも走れるレベルのバイクの方が実情にあうでしょうか。
軽快なロード車にオフロード用の装備をしたものを「スクランブラー」と呼びます。
オフ車はもともとこうした生まれのものが多いですから、先祖というところでしょう。今ではどちらかというとファッション的なスクランブラーが多くなっています。
そんな「スクランブラー」を正式車名にしてしまったのがこのバイクです。
英国のトライアンフが、かつて代名詞としていたバーチカルツインエンジン。一時無くなっていたように思いますが、近代的な仕様で復活しています。そのエンジンを使ってボンネビルが作られ、それをもとにスクランブラー化したものがこれです。
エンジンは巨大なクランクケースの上に直立した2シリンダーが立ち上がっています。900ccクラスで57馬力だったでしょうか。
そのフィーリングは軽快です。出力自体はおとなしいですが、必要にして十分なものです。
スクランブラーのシンボル、アップマフラー。今となってはファッション以外の何モノでもない感じ。
これが非常に具合悪く、膝と踝でバイクをホールドしようとするとマフラーが足にあたります。一応ヒートガードがあるのですが、そのガードが結構熱いので意味なしです。夏の渋滞など乗れたモノではないのでは?
タイヤはダートを意識したもの。ブロックは低いので舗装でも問題はありません。
ブレーキは、見るからに貧弱です。径は大きいですが、キャリパは能力があまり高くない。またリヤは下向きに付いているので、実際にダート走るのはリスクが伴うように思います。
サスペンションは普通のテレスコピック、フォークは細い。リヤは2本ショックで鉄スイングアーム。タンデムステップがスイングアームにあるタイプですから、大型車ではあるものの後ろには乗りたくないかも。
シート高は低いですが、足つきは良くない。原因は例のマフラー。
あくまでデザインにこだわったシートは荷物積めません。
メーターはシンプルそのもの。
こういうのを求める人も多いので良いでしょう。220kmまで切ってありますが・・・
高速道路で乗ってみました。
加速は十分です。流れに乗るのは簡単、このあたりは排気量がものを言います。
車体の安定性も高く、安心して走れます。それでいて軽快さもあり、取り扱いはしやすい。
しかし、ポジションの関係か風圧はかなりつよく感じます。速度を出す向きには合わないでしょう。
基本的に、ツアラーとしての使い方には向きません。街を流すバイクとするには良いと思います。
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