第二十五回 HONDA XR100Motard

 巷ではモタードが人気です。つーか、オフ系はモタードしか無いのが現状ですか。
 モタードなんて元々はオフ車のポテンシャルをオンで最大限生かすために作られたもの。それが、ベースとなるオフが無くても新車として発売されるようになってきてます。そのうち、「XXモタードをベースにオフロードも走れるように足回りに手を加え…」なんてモデルがメーカーから出てくるかもしれませんね。
 ホンダもXRの各排気量にモタードモデルがありますが、その中では230が結構良いみたいですね。モタードの良さはなんと言ってもオフ譲りの軽さなので、400では意味無いですから。250と230では目を見張るほどのパワー差は無いようですし。
 モタードは軽快さが命。もっと軽いモデルがある?ありますね。XR100モタードってのが。
 XR100、XR50ともにモタードシリーズの流れで出来たような感じですが、この2台はむしろApeの派生モデルでしょう。「なんちゃってオフ」的なApeですが、ストリートだけでなく、100はサーキットのミニバイクレースでも使われるようになった。その盛り上がりに合わせて、ちょっと本気で車体を作り込んでみました、ってのがXRモタードではないかと。
 ミニバイクレースといえば、従来はNSR50やTZM50など12インチの2サイクルが主流でした。しかし環境問題で2サイクルが消えていく中、GPの世界でも4サイクルマシンに変わっていった。ミニバイクレースでも、2サイクル50ccから4サイクル100ccが中心になりつつあるようです。NSRやNSは今もレース専用モデルとして新車が手に入りますが、ミニバイクレースの良さは「自分の原付でレースが出来る手軽さ」ですからね。今の流れは自然なものでしょう。
 もてぎのDE耐と同じように、鈴鹿でもMini Moto4耐が行われるようになりました。私の行きつけのバイクショップも、このレースに参加しています。いつもはショールームに飾られているだけのXR100モタード、店が休みの日にミニバイクサーキットで練習走行をすると言うので、ちょっと見に行ってきました。
 Ape譲りの単気筒100ccエンジン。倍の排気量でもNSRやNSと比べて速いとは言えませんが、これぐらいあればまあ十分かなという感じ。
 タイヤサイズはApeと同じ前後12インチ。ノーマルはブロックタイヤっぽいApeと同じものですが、サーキットを走るなら当然ハイグリップなものに。NSR50用のタイヤがそのまま使えます。そういえばこのホイールはモロにNSRからの流用ですね。フォークもインナーチューブの長さはどうかわかりませんが、ボトムケースはそのままです。ブレーキなどももちろんNSRのもの。スイングアームやサスも?
 それにしては意外とオフ車っぽくうまくまとめてるのはさすがと言うべきでしょうか。ポジションもしっかりオフです。それがミニバイクレーサーには不評なようですが。
 Mini Moto4耐のレギュレーションは良く知らないんですが、マフラーの変更は良いみたいですね。100ccもあれば音はなかなかの迫力です。ちなみに、見たところこの車両はセッティングがイマイチでした。ここのサーキットは少し標高が高いので、NSRなどもかなり薄目にします。
 さて実走…私も走りたいところですが、ファンデューロで行ったのでツナギは持参していませんでした。つーか、もう何年も着てないんで着れるかどうかも…
 ストレートの速さはまあまあ。同時に走っていたNS50FのSPチャンバー付きと同じぐらいは出ていたようです。このサーキットの場合、NSだと6速全開から5、4で高速の1コーナー、切り返しで3に落としてタイトな2コーナーとなるわけですが、XRは5速で4サイクル。1コーナーはほぼノーブレーキなので、2つも落としたらオーバーレブで壊れますね。2コーナーは3速で回れるみたいですし。2サイクルほどは高回転キープを意識する必要のない4サイクルですが、ここではミッションが合わなくて苦労しているようです。周回タイムは52秒ぐらいで、私が50ccスクーターでも出せるタイムでした。
 XRのオフ車的ポジションでは、イマイチ攻め込むことが出来ないようですね。ステップの位置とかハンドルの高さとか、ライダーからは不評ばかりです。しかし乗車位置を見る限り、根本的に間違っているような気がしないでもないんですが…実際乗ってないんでわかりませんけどね。オフ車的な乗り方ならもっと前に座って上体を引くでしょう。それではヒザは擦れない?いや、それでストマジやモンキーバハは大丈夫ですけど。オンオフモデルはそうやって乗るものですよ。
 跨ってみた感じでは、同じタイヤサイズということもあってストマジと似たような感覚でした。ストマジはフラットダートやオンロードのコーナーが楽しいバイク。XR100モタードも同じような使い方が出来るバイクだと思います。今後、サーキットでは走る機会もありそうですが、一度はダートにも持ち込んでみたいですね。
 余談ですが、ApeからXRへと来た流れは、そのままエンジン流用でNSF100というレーサーも生み出しました。カウル形状など、見た目でもかなり本気で作られていることがわかります。流用ですから5速ミッションは変わってませんが、これはかなり速い。写真のライダーは力量的にまだまだですが、それでもストレートだけならNSを軽く引き離します。
 ただ、40万円という値段はどうなんでしょうね。そこまで本気で取り組めるかどうか。ま、それもレースという受け皿次第ですかね。
 ちなみに、オフ車に乗る人間に一番馴染みやすいミニバイクは、NS50Fです。ただ単に大きいからでもありますが、ストロークが長く柔らかい足に17インチの細い前後タイヤで、旋回の感覚がかなりオフ車に近い。特に95年〜のXR250が似ているという話がありました。
 まあNSのことなんぞXRのインプレには関係ない話ですが。
 とりあえず…なんでもいいからオレも走りたいぞと…
写真・文 : 河村 敬

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