第二十四回 YAMAHA XT250X
近頃オフロードバイクが減ってきました。国産の新車が数少なくなり、選択肢がなくなってきています。
そんななかで今、モタード車は小さな人気となっています。
YAMAHAの250ccにモタードが誕生しました。それがXT250Xです。
ベースとなっているのはトリッカーの様ですね。
色は黒系とYAMAHAブルー。今回はレンタルバイクのブルーのモデルです。
エンジンは250ccのSOHCで21馬力。非力ですが低速での力があるのはセロー譲り。高速はお世辞にも得意とは言えません。3桁速度を続けるのには忍耐が必要です。
その原因の一つになっている5速ミッション。タッチはYAMAHAとしてはニュートラルも出やすい方ではないでしょうか。ステップがやや後ろにあるので、シフトはリンクを介しています。
燃費は北海道の道東で35km/リットルですから、思ったより走らない様です。これも非力さの結果でしょう。
車体はオフのそれですが、小径で太いタイヤを履かせているためにイメージが少し変わります。
またそのためか、車両重量が結構重く、乾燥で118kgあります。
ブラックアウトしたリムにダンロップのアローマックスを履く。ブレーキは標準的ですが、伝統に沿ってフロントの効きは強力ですから舗装路での不満はありません。泥よけも装備しています。
フロントは正立フォーク、リヤはモノクロスでこれもオーソドックスな構成です。
タイヤは前後ともに17インチ、前が110幅・後ろが130幅というのは大型オフ車並み・・・というより古めのロードマシン並みでしょうか。空気圧はオフ用より太いこともあって高めになっています。
ハンドル回りはオフ車そのものです。セローと同様表示の凝ったデジタルメーターを装備。リセットなどの操作性は若干疑問有りですが、取説等なにも見ていませんから正しい操作法があるのかも知れません。
ハンドルバーはオフ車のものが使えそうですが、幅は狭い様に思います。
ヘッドライトは十分に明るく、このバイクの性格なら問題ないでしょう。テールランプは白レンズに赤LEDですね。
YAMAHAのシートは概して出来が良く、尻が痛くなりにくい。シート高はかなり低いので小柄なライダーでも問題有りませんが、全体的に寸詰まりのプロポーションのため、荷物を積むとかなり窮屈になります。
リヤキャリヤはオプションでしょうか。大きさは良いのですが、ヒモかけがありません。
車両の性格上、舗装の峠は大得意です。ただし30馬力クラスの250cc車に比べるとどうしても上りの余裕がなく、タイヤの優位性を活かすほどにはありません。サスペンションもストロークしたときのショックがあるので、下りでもタイヤの限界まで行くのはなかなか難しいかも知れません。サスペンションのグレードはあまり高くない様です。そうは言ってもそこそこの走りはしますので、楽しむ車両としては良い感じでしょう。
タイヤがタイヤだけにダートはどうか、というところですが、これは意外とうまくこなします。フラットダートならばタイヤが小さい分直進性は高く、ふらふらすることがありません。多少の石でも十分にこなしますが、アスペクトレシオ70の扁平タイヤですから無理は禁物です。
ダートで気をつけなければ行けないのは浮き砂利の下り。これは大の苦手ですね。車体が後ろ乗りなのですがリヤブレーキの効きは甘いので非常に難しい。反面上りは低速の粘りがあるので結構走れます。十分オフロードに対応出来ると言えます。
モタード車は基本がオフ車でそれにロード的味付けをしたものが今現在の姿です。既にオフモデルのないモタード専用車も市場にありますが、それをベースにオフ化するという手もありますね。本来派生車であるはずのものから元種を作り出すというのも本末転倒でしょうが、生き物の世界でも戻し交配で純血に近づけるということもあります。
ダート林道の減少でオフ車の復権は難しいものとなっていますが、モタードがそこそこの人気を保ってくれればオフ車の車体は入手可能、ということも言えるのでは。
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