編集長の執筆室

 なんとなく仕事が一段落した。

 実は先週、週末に出張で上野駅に居たとき。まだ北海道行きの夜行列車に乗れる時間だった。仕事は済んでおり、翌日は休み。なんの問題もなく乗っていけるのだったが・・・
 残念ながら、その時点ではまったくネタが出来ていなかったしパソコンも持ち歩いていなかった。どうせネタが出来れば書くためにどこかへ行くのであって、そこはさっさと帰ってきたのだった。

 で、春から一連で続いていた仕事もようやく終末を迎える運びとなり、特に自分の分野は前日までに終わっていた。土曜日もまとめのために半日出勤しただけで帰り、さあこれから行くぞ!というところ。
 そのまえに車のオイルを換えて・・・などとやっていたら意外と時間を喰ってしまい、選択肢が少なくなってきた。

 まずの話、どこへ行こうか?

 仕事(BACKtoのね)をする環境としては、個室寝台車が好ましい。開放型寝台はどうもうまくない。個室寝台のある車両としては東京からの「北斗星」、名古屋からなら「はやぶさ・富士」、大阪からなら「あかつき・なは」・・・静岡から「サンライズ」の手は春に使ったので今回は別の列車にしよう。
 東京は間に合わない、名古屋はかなり時間が遅い。では大阪出発だ、と。ところが桑名駅へ行ってみれば大阪行き近鉄特急が出たところ。次は1時間後で少々危ない。しかたないので名古屋から新幹線を使うことにして名古屋駅へ。

 大阪からの選択肢は別にもあった。

 寒波がやってきて、この1週間は北の方で結構荒れたようだ。雪の便りも聞こえている。雪!そう雪だよ。雪を見に行かなければ・・・
 名古屋駅に滑り込んだのは500系の「のぞみ」、運良く自由席にも座れ、新大阪までは1時間弱。その間にルートを考える。「あかつき」で長崎へ出るルートと「日本海」で秋田へ出るルート。「あかつき」は個室寝台があって到着も8時半と仕事が出来そうだ。しかしその後のルートがちょっと厳しい。福岡から飛行機の手も考えるが実際時間は変わらない。「日本海3号」は開放型寝台でイマイチだが・・・

 でもやっぱり雪でしょ。

 大阪駅で「日本海3号」の鷹巣までの切符を買った。



 時間が少しあったので駅地下で一杯。今日はどうも生ビールが進む・・・



 写真を撮ろうと思うと始発から乗りたいわけ。「日本海」なら京都からでも良いのだけど短時間停車の京都では写真が撮れないのだ。まずは鉄なヒトになりきって。
 最近上段に人が乗る状況に巡り会っていないが、今日も下段がさらりと埋まった程度。土曜日の青森行きとしてはそれなりの乗車か。



 腹ごしらえ用のお買い物は忘れずにね。最近は食堂車もなく車内販売も朝のみだから。



 機関車を交流仕様に繋ぎ換える敦賀で今日の活動はおしまい。おやすみなさい。
 夜中に何度か目が覚めた。私は暖房の効いた中で寝るのが苦手で、どうもそれが冬の夜行列車に合わないところでもある。



 車内放送が朝を告げる。車窓には雪が見え始めた。求めてきた甲斐があった。



 カーテンを閉めたまま、パソコンを開く。
 対面の乗客が少々鬱陶しかったので顔を合わせたくなかったから。能代までの約3時間を執筆時間とする。



 秋田から車内販売が入ったので朝飯確保。やはりご当地ものでしょ、駅弁は。



 列車は鷹巣へ滑り込んだ。雪はかなり積もっていて、10cmはあろうか。
 さっそく帰りの切符を買っておく。帰りは「こまち」と「のぞみ」で一気に5時間半ぐらいだ。



 さて、目的はなんだったか。それはコレである。
 秋田内陸縦貫鉄道は、旧国鉄の2路線(阿仁合線、角館線)の未成区間をつなげて第三セクターとして開業した。
 時間的に2本乗れるので、駅で温泉に寄るための下車が出来るところを問えば、阿仁前田の駅が温泉になっているとか。そこまでの切符を買う。もう一本時間があればフリーパスを買うところだったが時間的に少々難しい。先に帰りの新幹線買ってしまったし・・・



 で、その阿仁前田。駅舎そのものが温泉センターだが循環湯。ちょっと失敗か。
 対向列車待ちが結構あるのでカメラかかえてうろうろ。雪があるのに女の子はどこでも元気だ。



 阿仁合で乗り継ぎ。車庫のある大きな駅に色とりどりの車両がいっぱい。結構活況だ。




 新しく作った区間がこの路線のハイライト。旧阿仁合線は人里を繋ぐ感じだったが、ここからは秘境度が急に上がる。
 雪の季節はこれから本番を迎える。雪深い鉄路は格別の旅情を醸し出すものだ。
 別に雪は珍しくない。ただ、雪の季節はスキーで山へ行くものとしていた。スキーもあちこち渡り歩くタチなのでこれも旅の一つとして来ているが、ゆっくり過ごすのは最近始めたばかり。

 男の独り旅の道具としては、バイクが一番平和である。
 大きな車に一人で乗ることはやはりエコロジー的にはどうかとなる。その点バイクなら一人が当たり前。
 列車はどうかと聞かれれば・・・



 今回の旅で、目的としていた場所は、ある地点ではなくこの鉄道路線のみ。
 目的の考え方はバイクである林道のみを目指すのと同じ。

 夜行日帰りでこんな遠くまで来ることに異論もあろう。
 が、日程が長くなればいろいろと目的地を上げて回りたくなり、結果的に記憶に残るものがバラバラになりがち。目的を小さくして1回1回あたりの吸収するものを多くしたい。だから目的は少なく、日程は少なくて良い。
 バイクでもそれは同じで、長期間のツーリングでの思い出より、日帰りの方が印象が強く残っていることが多い。ヒトの記憶なんてそんなに容量がないもので、特に歳を追うにつれてそれが増長していくものだ。



 列車は角館に到着、秋田内陸縦貫鉄道の旅はここまでだ。
 あえて1本遅らせた新幹線の待ち時間は40分。東北の小京都を少し歩いてみるのも良いか。

 あまり歩き回る時間もないので、「株式会社」でも見ておしまい。



 さあ、「こまち」がやってきた。
 国内の列車で一番好きな車両である。何が良いって、このシートが最高で、東京までの3時間半をまったく疲れを感じずに過ごせる。

 ThinkPadのバッテリーもあまり残っていないので仙台から再び作業開始することにして・・・

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