オフロードバイクはその性格上、車高が高く足つきが悪いものが多い。
体格を理由にセローやシェルパといった比較的低いモデルに流れるユーザーも多い。しかしこれらの車両は特に体格対応車両ではなく、用途が少し異なる車両という分類ですね。
高速系のモデルはどれも車高が高いものですが、中には車高を低くしたものもあります。
スズキのDRシリーズは、90年代前半から車高を低くできるモデルを用意していました。SJ44型のDR250SにはSHCという車高調整がありました。
フルモデルチェンジとなったSJ45型は、車重を押さえるため調整機構は省かれましたが、ちょっと手を入れることで車高を下げられる様に設計されています。
そうした機構を用いて低車高仕様としたものを、「DR250RL*」(*は年代によってS〜Wがある)としてラインナップしていました。
では、どれだけ違うのでしょうか?低車高仕様のDR250RLWを、標準車高のDR250RW化してみましょう。
誰が見てもあきらかなのは、リヤのショックアブソーバに開けられた2つの取り付け穴。
低車高モデルは上の穴にリンクを取り付けています。
リヤのサスペンションユニットは、基本的に同じなのですが、バンプラバー(ボトミングしたときに当たりを和らげるゴムストッパー)の高さが違います。ストロークの違いがありますからね。
これは、ラバー下に入っているカラー(半割り)を上下ひっくり返すことで変更できます。
外す際にはスプリングのコンプレッションリングをゆるめてやらなければなりません。取り付けた後のサグ出しは必要です。
フロントフォークは、標準と低車高ではこれほどに違います。
ところがこれで、ストロークはほぼ同じなのです。
これは、低車高が基本で設計されている様です。スプリングの上端にスペーサーを入れて車高を稼いでいるのが標準車。スプリングそのものは同じです。
それでは比べてみましょうか。
左が低車高、右が標準車高です。ただし、本来より10mmほど低くセッティングしています。これは小回り性を稼ごうとフォークの突き出しを増やしていること、リヤのサグを多め(柔らかめ)にしていることによります。
低車高では、リヤのタイヤの上部がサイドカバーに隠れていますね。またフロントフェンダーの間隔もかなり違います。見た目のバランスは標準車の方がとれているでしょう。
走らせてみると、やはり標準車の方が荒れた路面への追従が良いと思います。本来この足回りはこういうものだと思います。
DR250Rという車両は生産中止になりましたが、同じベースを使うジェベル250XCは継続販売されています。しかし、このジェベルからも、低車高モデルはカタログ落ちしました。
低車高用の部品は欠品であるという情報もあり、低車高化するのには一部障害があると言われています。
それぞれで異なる部品は、
*フロントフォークのカラー(低車高には無し)
*サイドスタンド
*メーターケーブル
だけの様です。この中でメーターケーブルは、低車高のものは標準車高でも使えています。逆は長すぎて無理かもしれません。サイドスタンドは専用のものにしないとどうにも具合が悪いです。さて、欠品はどの部品?
今回は標準化することであり、生産継続されている標準車高仕様の部品ですので入手には問題ありませんでしたが・・・