短い春に

 6年ぶりになるか。

 春になって活動開始するつもりが出鼻をくじかれる形となったバイクの故障、そして放出。もういいや、1台に絞ろうか、と思った矢先にこれまたトラブルで冬眠に戻る始末。
 無ければ無いで乗らなければいいだけなのだが。いやいやそんなわけにはいかないでしょうよ。無ければなおさら乗りたくなるのが心情ってもんです。

 雑誌やインターネットで探すこと1ヶ月。車両は新しくないが手持ちとしては新しくなったバイク。選んだのはオフロードを本格的に走り始めるきっかけとなったバイクだった。



 いつものように集まる仲間。
 林道へ入る前にはガソリン補給と食糧の確保が必要不可欠だ。

 春の陽気に誘われた車が長い列を成す国道を、良くないこととは思いながらも車を避けて前へ前へ。もう少し行くつもりだったが、さすがにストレス溜まるので少し近い林道で妥協。

 何に不満があった、と聞かれれば全てにほんの少しづつ、ではあるものの、でも大した不足ではなかったのに。
 わずかあと数馬力あれば・・・そんな思いだけだったか。その数馬力を求めた少し大きなバイクに乗せられてきた数年間。

 このバイクでは初めてのダート。数年前のバイクとは少し違うところがある。
 前足が低車高仕様のままなんだ・・・無理をするわけではないのでそんなに高い車高が必要な訳じゃない。でもリヤのみ標準車に近づけた前後のバランスがない状態、あきらかにバイクは暴れている。

 「そんなに飛ばすヒトでした?」

 それでもよりハイパワーで優れた足を持つバイクに乗っていた時代よりもスピードは出ていたようだ。なのに付いて行けないのは、これまでバイクの性能に乗せられて走っていたからか。



 林道は確実に通れる保証がない。春は冬に荒れた名残が、秋には台風の影響が。
 倒木に落石、歩いてルートを確認。通れなくは無さそうだが。

 走れる人が偵察に行く。ほどなく道が無くなり、これ以上の進行は断念。



 いろいろと弄っていたために前夜にやっと走れるようになった我がバイク。
 こんな道ばかり走っているとこういうことにもなるわけで・・・て、単に材質選定ミスだ。振動でナンバーが取れるなんて・・・



 春の林道は日差しも穏やかで、ゆったりとした空気が秋とは違う。
 林道で弁当など広げてまったりと。

 以前のようにガツガツと走らなくなった。
 もうこれで帰っても良いな、と。

 帰り道も林道を選択。多少崩れているとの情報もあったが、通れる程度と伝えられている。



 しかしやはり春の林道は侮れず。違う箇所が崩れていた。
 見上げればこの場所も安全ではないようだ。あきらめて舗装道路へ戻るか・・・

 短い春はやがて終わり、梅雨の季節、そして夏へ。快適に走れる時間は思いの外少ないのだった。

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