第十九回 BMW R1200GS

 大型オフロード車の一方の雄がKTMであれば、もう一方は「GS」になるでしょう。
 BMWはR80G/Sの時代からパリダカに参戦し、優勝も数多く数えます。近年でもR系をベースにして参戦していましたね。そのときはメインにF系を据えていたので優勝モデルはF650GSの元になったマシンでした。
 そう、ここにも「GS」は出てくるわけですが、古くからのBMW乗りには未だ完全に受け入れられていないらしいF系より、ボクサーエンジンを積んだR系の方を正しい「GS」と見ている様子もありますね。

 R系のGSモデルは、R80G/S(これのみ”/”が入るので、”スラッシュ”などと呼ばれているそうな)、R100GSとオフロード指向の強いモデルから、ツアラー色の濃くなったR1100GS、R1150GSと、徐々にエンジン、車体を拡大してきました。R1150GSなどは250kgを軽く越える車重で、一般の人がオフロードを走るにはかなりしんどいモノだったと思われます。
(筆者はR1100GSの乗車経験はありますが、R1150GSはありません)

 そのR系がモデルチェンジを行い、エンジンを1200ccに拡大したR1200GSとなりました。またまた大きくなったわけですが・・・
 大きくなったのはエンジンだけで、車体は大幅な軽量化を行い、30kgほど軽くなったようです。



 車体デザインは最近のBMWの形に近くなりましたね。その点でも軽快に見えます。



 1200ccのボクサーツインエンジンは100馬力を越えます。
 そのエンジン音は試乗会場がイベント中のコースであったため、詳しく確認できていません。要するに静かなのです。セルモーターの音が独特で、まるで自動車の始動を行っているような感覚になります。



 駆動はチェーンではなくシャフトです。メンテナンスフリーなのが美点ですが、初期にはトルクステア(シャフトの回転慣性がアクセル開閉やクラッチの断続で変動し、車体全体のロールにつながる)が問題視されており、現行でも完全になくなったわけではありません。少しふらつく感じはあります。
 シャフトドライブによりホイールは片持ちです。これだけゴツければ剛性云々は問題ないでしょうし、ここの剛性が重視されるような走りは出来ませんし。



 フロントサスもテレスコピックではなく、テレレバーと呼ばれるもの。違和感はありません。
 ただ、フロントサスは弱い様で、下りダートではガツンガツンとショックが来ます。なにぶん軽量化されたとは言えまだまだ200kgを軽く越える車体ですから。それに走りに振ったKTMやエレファントと比べるのもどうかと思いますが。



 車体は幅広です。お世辞にもスリムではありません。ハンドル幅も広い。乗車ポジションに自由度が無く固定されてしまうBMWの特徴はこの車体でもあります。シートはBMWの伝統に倣って長距離でも楽そうですが、ハンドルが遠いポジションは、その車重も手伝ってそれなりの体格を必要とします。その逆に厳しいのが足の曲がりで、ステップとシートが近いのもBMW的です。
 エンジンが張り出しているため、ダートでのターンで足を出すことが困難です。いや、足は出してはいけないと思います。万が一の際に怪我しそうです。足を出さなければ行けないような走り方はさけるのがベターか。
 この車体は、とにかく安定感が高い。しかしそのわりに小回りが非常にスムーズなのは驚きです。ダートの小回りではKTMやエレファントより楽に曲がれます。

 さて、この車両をどう乗るか?

 日本においては、やはりツアラーとしての使い方になるでしょうか。長い距離を高速道路で移動し、またフラットダート程度なら走れるよ、と。
 オフロード車と言っても、トランポ常備車でないかぎりダート率はせいぜい10%程度でしょう。R1200GSはトランポでは無理でしょうから、1%に達するかどうかもわかりませんが・・・

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