第40話 仲間意識

 某誌の読者参加企画に参加して10年になろうとしている。
 一枚の写真が掲載され、それを探しに行くものだ。

 そんな企画に参加するのにはひとつの理由というか、楽しみがあって。
 それは、同じ目的を持った人たちが同じ時期に同じところに集まってくるということだ。だから比較的簡単に話が通じ、簡単に仲間になれる。そう、そんな企画から生まれたのが「怪しい軍団」であるわけで。

 某誌もいろいろあったがそれでも同じようにその企画は続いている。そして俺たちもまたそれに参加を続けている。
 林道をとりまく環境が変化してきており、また某誌の変革に三行半を突きつけた古くからの案内人が減ってきたことなどもあるが、新しい案内人が現れてそれを引き継いでいる。

 以前からいろいろ問題はあった。
 そんな問題の一つに過ぎなかったはずだ。



 その時参加していた案内人のひとりと意見が一致した。これはちょっと、と。
 それを某誌のBBSに最初に書き込んだのは、俺だった。

 その回の案内人、実は面識があった。数回逢っていた。すでに俺にとっては知っている人だった。
 そんな意識から書き込んでしまっただろうか?


 その後、BBSは荒れて閉鎖になった。


 なにを隠そう、某誌のBBSが閉鎖になるのは2回目である。
 そして前回の閉鎖の際にも、少しながら関わっていたような・・・


 それからしばらくたったある日。またその企画の時期になっていた。
 いつものように早速バイクを飛ばしてエリアに入った俺の目に、見慣れた一台のバイクが入った。
 すぐさま近寄って挨拶を交わす。

 「大変お久しぶりです。その節は私の書き込みからこじれてしまってすみませんでした」


 人の意識は様々で。


 2、3回逢えば名前もわかる。名乗らなくても雑誌であれは誰だ、と調べたり。回数が増えてしまったり、HPで答えを暴露していたり、珍しいバイクに乗っていたりすると面が割れていたりするものだ。そうして仲間意識が広がっていく。それがその企画の楽しみだったわけで。
 しかし、後日とあるBBSで見掛けた彼の書き込みは、そうではなかったのかも知れない。


 俺の知っているのは某誌のリングネームである「なんたら誰それ」ではなく参加者としての本人名であったわけだが。


 これからもその企画には参加を続けるだろう。物言わぬ民であるほうが長続きするのだろうね・・・

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