第十八回 KTM 950 ADV−S

 日本の各メーカーは以前こぞってParis−Dakarラリーなどに参加していました。そのため、そうした参加車両のベースモデルやレプリカモデルがラインナップされていました。
 しかし近年はそうしたモデルも終焉してしまいました。日本のオフロードは林道などですから大型車は合致しにくいというのもあると思いますが、各メーカーともラリーレイドから撤退したことが大きいと思います。

 本場欧州でも参加メーカーは増減してきましたが、今、熱心にラリーレイドに参加し、それを席巻しているのがKTMです。
 KTMは以前からLC4モデルによるラリー活動をしていましたが、さらなる強化のために投入したのが950ccのVツインエンジンを積むモデルです。
 そしてその公道走行用モデルが、950Adventureです。



 スタイルは特異です。直線基調で造形されたカウルを持ち、未来的なイメージを出しています。全体のイメージを統一しているあたり、なかなかこなれたデザインと言えます。
 特に最近流行のタテ配置ヘッドライトを持つ顔がアクセントになっていますが、これを格好良いと思えるかどうかは好みの問題となるでしょう。

 この白のモデルは標準色ではありません。ショップが特別に仕立てたものです。



 エンジンはLC8と名付けられたV型2気筒8バルブの水冷エンジンです。950ccの排気量から100馬力以上を発生します。オフロード車両で100馬力オーバーの時代が来るとは・・・



 サスペンションは前後ともWP(旧WhitePower)が使われています。OHLINSと双璧を成す名品です。フロントは倒立、リヤはPDSでしっかりとまとめられています。



 ブレーキはご多分に漏れずブレンボです。フロントは車格を考慮して2枚のディスクで構成されていますが、大径のスポークホイールでキャリパは片押しの2ポッドとなってしまいます。
 タイヤはフロントが21インチ、リヤが18インチでサイズ選択には困りませんが、いかんせんその車格ですから何でも良いというわけではなさそうです。無難な線はピレリMT21でしょうか。



 メーターはデジタルマルチメーターと、アナログのタコメーターで構成。
 ハンドルはテーパーバーを使用しています。ブリッジの無いハンドルというのはなかなか見慣れないものだなあと・・・

 車体周りはスリムですが、シート幅はやや広めで長距離に対応しているようです。大型のガソリンタンクは左右2カ所の給油口があります。

 さて、この青色のモデル。これは、S仕様です。通常の950Adventureに対して、車高を上げて走破性を高めたものです。
 試乗会では通常のAdventureだったのですが、希望者が多く順番待ちがあったため、乗れるヒトはこちらをどうぞ・・・と用意されたものでした。
 三橋淳さんが乗っていたものをお借りしたわけですが・・・



 足、着きません(汗

 つま先はなんとか着いていますが、これは非常に不安です。おまけにタイヤがこんな状態です・・・
 まあでも跨ってしまったからには行かねばなるまい、と走ってみました。
 タイヤについては、エンジンがカバーしてくれました。トルクがおだやかなエンジンで、アクセルを大きく開けずに坂を登っていってくれます。三橋さんはかなりリヤを振ってましたから、相当開けていたと思います。足つきも走っているうちは何の問題もありませんし。

 足回りはセッティングによって変わりますから評価が難しいですが、私にはややフロントが堅い印象です。下りのギャップでは少々”ガツン”という手応えがありました。WPのフォークは工場出荷でやや堅めだと思います(参考:フサベルFE400の場合、2段階ほど柔らかくしています)から、このぐらいは簡単に調整可能でしょう。リヤサスはまともに機能させるほど走り込めませんでしたのでよくわかりません。
 コースを2周しただけの試乗ですから、速度もあまり上げられませんでしたが、安定感はあります。フロント21インチでもあり、その高い車高から小回りについてはやや難易度高し、といった感じでしょうか。

 乗ってみた印象として、低車高の標準モデルならば舗装路を中心にして時に林道も、と言う程度の使用に合うかなと思います。高車高のSは乗るところに困る様な気がしますね。足つきはEDレーサーより悪く、大きく重い。気軽に林道を走りに行けるかというと・・・

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