File51 ヘッドライトの交換

 どうにも欧州車というのはライトが暗い傾向にあるようだ。
 近年はE球など妙なバルブも少なくなり、H4化されて電球による問題は少なくなったが、ことレンズについては不満が多い。年式が古くなればそれはなおさらで、レンズカットだけでなく材質上の問題もあって明るさを確保しにくい様だ。
 ライトの明るさというのは光量だけでなく、その広がりや集光度による部分が多いので、ただハイワッテージ化すれば良い、というわけではない。



 このヘッドライト、プラスチックレンズであるが材質が熱に弱く、ハロゲンバルブの高ワットのものを使うことが出来ない。発熱量の低いHID化などならば高出力化出来るが、レンズカットも良いものとは言えないので効果も多くは見込めない。
 使われているライトユニットは135mm径のもので、標準的な寸法である。これをリプレースすることでライトを明るくしてみたい。
 135mm径レンズとしては、国産2灯バイクのなかにも該当するものはある。SUZUKI車などの多くはそれで、ヘッドライトユニット一式を流用することも可能(若干ライトピッチが違うようだ)であるが、4灯ライトの4輪車用も大きさと用途には該当する。



 今回使用するのは、これ。
 CIBIEのMiniOSCAR−Inoxというフォグランプで、Hi/Loの切り替えが出来るH4ランプユニットだ。
 4輪用として長年使っているが、明るさはハロゲンヘッドランプを超え、HIDの光をも被そうとするほど。55/60Wという一般的なワット数ながらレンズとリフレクターの秀逸さでその明るさは際だっている。

 しかしながら、このMiniOSCARの場合、ボディ寸法は156mmある。エレファントのヘッドライトピッチは148mmであるため、2個並べることは出来ない。
 そこで、レンズユニットだけを使用することで148mmに収めようというもの。



 レンズユニットしか使わないので、部品買いできるCIBIE製品はありがたい。一式ユニットで購入すると29800円だが、レンズユニットは1個5280円。インターネットで発注でき、宅配便による代金引換で購入可能だ。ただしバルブも配線も着かないので、別途用意する必要がある。
 このエレファントには購入当初からPIAAの配線リレーが装着されているのでそれを利用することにし、バルブはひとまず安売りの980円モノを使用して様子を見る。



 ライト自体はカウルに取り付けられている。プラスチックの一体リフレクターを採用していた。プラスチックレンズと併せて軽量に作られている。こうした軽量化の積み重ねがエレファントの軽さを実現しているということだ。
 これをリプレースするにあたっては、アルミ製のブラケットを製作して取り付けることにした。ガラスレンズ、アルミリフレクタでもあるので、かなり重量増となるだろうが致し方ないところ。



 ブラケットは現物を採寸して同ピッチ、同穴位置で製作した。
 車体取り付け用のプレートと押さえプレートを製作し、レンズユニットを挟んで固定する。



 材料はアルミ板でホームセンターなどで入手可能なA1050で製作した。A5052を使いたいところではあるが、入手性の点で難がある。
 切断は難しくないが、丸い穴を抜くのが面倒だ。ここは糸鋸を使用するしかない。円周近くに小穴を開けて糸鋸を通し、ゆっくりと回しながら切断する。
 アルミが柔らかいため目詰まりしやすいのでこまめに掃除しながら切断する。

 小さな取付穴は先に開けておく方が良い。ドリルの力で材料が曲がってしまうことがあるから、出来るだけ押さえやすい状態の間に穴あけを行う方がベターだ。



 アルミは鉄のようには赤さびにはならないが、やはり腐食する。ヘッドライトの乱反射を防ぐ意味で艶消し黒に塗装した。



 レンズユニットを挟んで固定した状態。ねじ3個をバランスよく締付ける。
 ノーマルのプラスチック製に比べても、重量差はほとんど問題のない程度。ガラスの比重は2.5程度、アルミは2.7程度。プラスチックは2.1程度で、うまく作れば重量増は最小に押さえることが可能なもの。今回の場合は2枚のアルミでレンズユニットをしっかり挟み込んだことで、段ボールの様な構造となり、強度のわりに軽量に仕上げた(つもり)



 カウルに取り付ける。穴を同じにしてあるから取付には問題ない。上の2個は左右の角度調整で、それを支点に下のノブで光軸高さ調整を行う構造となっている。
 前オーナーは光の漏れに気を遣って黒いスポンジで隙間を埋めていたので、その手法に従う。

 配線は変更しない。91年式であるこの車体の場合、ヘッドライトスイッチが着いているが、当初はポジションライトの位置は使わないままとする。
 もともとH4であるから接続はそのままで大丈夫だ。



 取り付けての外観は変わらない。純正品はややふくらんだレンズであったため、平板なMiniOSCARはやや奥まった感じにはなるが。
 取り付けたバルブが青色コーティングされているので真っ正面から見るとライトが青く見える。

 では、さっそく照射テストと行ってみよう。
 これまでのライトに比べて、明らかに光は強いが、ワット数も大きくなっているわけでそれは当然ではある。
 最近はやりのHID色に似せた青白い光は、実はやや視認性に欠けるように思われる。



 フォグランプでありながらH4のバルブとHi/Loそれぞれのレンズカットを持つMiniOSCAR。通常のヘッドライトのようにメーン/ディマー(今や死語ではあるが)切り替えで使える。
 Loはさすがに照射角が広い。ここがフォグランプたるところで、照射角を大きくした反面、光のエッジをシャープに切ってはいない。それがやや暗く感じるところでもある。
 Hiはこのレンズの良さが一番発揮されている感じだ。遠くだけでなく近くも十分に照らしている。バルブの色をもう少し工夫すればかなりあかるく感じるだろう。

 いずれにしても純正のライトよりは大きく向上しているのだが、使用する電気容量も大きくなっている(Loで1.6倍)ので、発電容量に若干問題を抱えるこの車両にとっては負担も大きい。そのあたり、うまく使っていく必要があるようだ。



 そこで、左右2灯あるヘッドライトを、1灯だけ点灯できるようにした。どちらでもよかったのだが、左側のみの点灯とした。
 前述通り、エレファントのライトスイッチにはポジション位置がある。今回のレンズユニットはポジション球が入っていないので、その位置は使っていない。配線は別にあるので、それを活かしてみることにする。

 PIAAの配線は左右のライトが並列になっている。それでは単灯化出来ないので、別のリレーを使い、バッテリーから直接電気を引く。それだけで単灯になるのだが、HiはPIAAの配線を使っているのでややこしくなる。そのままHiにすると、Hi/Lo同時点灯になってしまうからだ。
 それを回避するために、B接点のリレーを使ってポジション配線からの信号を切る構成とした。B接点とは、コイルに通電したときにスイッチを切る(通常のA接点はコイルに通電したときにスイッチが入る)ものだ。

 すなわち、ライトスイッチのP配線でA接点リレーを切り替えるが、そのコイルの配線にB接点リレーを入れて、常時ONにしておく。SWをPにするとA接点リレーに通電し、バッテリーの電気が流れてライトが片側点灯する。SWをLにすると、もう一個のライトにPIAAのリレーから同様の電気が流れて両方が点灯する。(左側はPIAAのリレーを通過していない)
 Hiに切り替えると、PIAAのリレーから電気が左右のライトに流れるが、同時にB接点リレーのコイルにも通電するので、P配線からの電気は遮断される・・・というわけだ。

 ・・・よくわからんですね。必要なかたはご連絡ください。回路図書きます(笑)

 ついでに、思ったより暗かったバルブを通常の白色に変更。Rayblicの高効率バルブを入れたことで明るさは飛躍的に向上した。
 実走行に置いては、これほどまでに変化があるのかと驚くほどのライトになった。通常走行では、左側だけでまったく問題ない。照射角の広いフォグランプレンズなので普通の1灯式のバイクよりも明るいほどだ。2灯使用するのは高速道路ぐらいであった。
 1灯だけの点灯ならばオリジナルの35W2灯よりも消費電力が少なく、省エネにも繋がる・・・といいなあ・・・

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