ＧＷ哀歌
まったく鬱陶しいよなあ・・・
なんでこんな渋滞にはまらないかんのだ。
春の大型連休、いわゆるゴールデンウィーク。多くの人が移動する、民族大移動だ。そのなかで発生する渋滞のひとつにつかまっていた。
連休に渋滞するなんざ最初から分かり切っていることで、本来なら渋滞でも比較的影響の少ないバイクで移動したり、あるいは渋滞が予測される箇所を夜間に通り過ぎたり・・・という計画は当然のことながら立てたわけだが。
ちょっとしたミスで、バイクで転んだ。それで左手を少し痛めてしまった。ツーリング向けの大型バイクのクラッチは握れない。それどころかマニュアルミッションの車でさえ影響の出ている現状。
しかし、幸いなことにクラッチの軽いオフロード車、そしてふだんから２本指でクラッチを切ることにしているから、それならなんとか乗れる。
とはいうものの、それがいま履いているタイヤはミシュラン・エンデューロコンペ３・・・
ロングツーリングなどとんでもない。それに長時間走れるほどには回復していない左手の事情。
現状で最良の方法ってのを考えるに、走らせることの出来るバイクをトランポに積んで行くってのが良いのではないか。
そんなこんなで借りたハイエース。ところが仕事が圧してしまい、出発予定の夜にはまったく準備すら出来ていない。あきらめて朝から出てきたわけで。
これが現状だ。どうにもこうにも動いてくれない。１時間待っても動いたのはわずか数十メートル。ここを通り過ぎるまであと１ｋｍ少々。
トイレに行きたくなった。このまま渋滞にはまっていてはいつになるかわからない。ルートを変えて阪神高速から神明へ・・・
無理。
こちらは吹田ジャンクションより長い渋滞の表示。
やむなく一般国道へ降りてしまった。なに、どうにもたどり着けなさそうなら引き返して計画変更すればいい。
あ、計画は九州へ行くことだ。まあ事情も事情であるし、林道祭りとやらで宴会して、少し林道走れればいい。他の目的もあるし。
それなりに動いていた一般道、しかしまた渋滞に。表示は５ｋｍ、たいしたことはないか。
・・・高速の３０ｋｍと一般道の５ｋｍはどちらが長いのだろうか・・・
並ぶこと１時間。またまたトイレに行きたくなって。ところがこれまた何もないところなんだな。
しかたがないのでレストランに駆け込み、遅い昼食を。そう、すでに遅いのだった。いまだ神戸のエリアを越えていない。
こりゃー今日中に九州入りってのはかなり厳しくなったぞ。あ、マットを買っていないな、キャンプどうしようか・・・
・・・結局、こんなことだ。
関門橋に到着したのはすでに午後８時。しかも強風で、３脚立ててもカメラがぶれる。どう考えても今からキャンプは無理。
手当たり次第にホテルに電話してみる。下関、全滅。小倉、全滅。そして・・・
都合４３軒目、やっと確保したホテルはどんたく前夜の博多の街。それはそれはそれでラッキー。
ちょいと居酒屋でも、と入ってしまった店は間違えてラーメン屋で、何で博多まで来て普通のラーメン屋に入らなきゃならんのだ、と軽く飲むだけに・・・って、ここまで来てアテがもやし炒めと冷や奴とは・・・
まあしょうがない。それでも最後はこれで締めなければ。
いくつも立ち並ぶ屋台の数々。２軒並んだ屋台の１軒は順番待ちまで出る大人気、となりは人っ子一人いやしない。そりゃー並んでる方が良いのでしょうが、元々並ぶほど忍耐力があれば今日のように迷走しないわけで。
もちろん空いてる方へ。
人が人を呼ぶ、というのはあるようだ。
俺が座った直後から、どんどん人が集まってきてこちらもいっぱいに。順番価値も出ているが、しっかり替え玉するのは博多ラーメンならお約束。木耳が入っていないのが不満だったりはしたものの、結構満足な博多の夜。
・・・しかし、ここってホテルだよな。なんだか映画館の様な・・・
翌朝。どんたく渋滞の前に出かけなければ。
雨は降っていないが確実に天気は下り坂だ。せっかくバイクを積んできたから今日ぐらいは走りたい。
目的の一つはこれだった。昨日の晩に着くはずだったのだが。
「林道祭り」があちこちで開かれるようになってもう５年以上になるか。九州でも何年かに渡り続けられている。自分自身来たのは２回目で。
今回は廃校になった学校を利用したものだった。
見回せばよく知ったバイクが何台か。体育館を除いてみればこれまた知った顔が。
全国オフローダー３００人説というのがある。まさにそんな感じ。
とりあえず全体写真にだけは収まってみる。もっとも俺は今日も泊まらずに帰るんだけどね・・・
林道祭りってのは某雑誌から始まったもので、今回もそれに関係している。本来なら連休が明けてから発売されるその雑誌がこの会場で先行販売されるという情報もあった。その雑誌を手に入れて走ろうってー腹だ。
少し雨が降り出してしまったが、そこはトランポに積んできた気楽さ。バイクを降ろして走りに行く。
九州の林道は初めてではない。そして来るたびに思うことが、林道のレベルが高いと言うこと。
雨の所為もあるか、掘れたダートはとても大型車で走れる状態ではなく、軽量車を持ってきて正解というところ。
雨の林道は実は大好きで、しかも今は前述の通りエンデューロ用のかなり強力なタイヤを履いているからこういう状況は楽しく走れる。決して無理をする必要もない。まわりのペースに踊らされないように群れを離れてひとりで走るのが自分にとってのもっとも安全なパターンだ。
林道を地図に従って走り、写真を撮る。デュアルスポーツ／ＣＣＲを走っている。順調に走ってきて、順調に写真も収めた。
ところがここで長い時間雨に濡らしてしまったカメラがその後電源不調に陥ることになる。
それだけではなく、走るのにそれほど影響の無かった左手も、雨で冷えたことでうまく握れなくなってきた。この程度でやめておく方がいいだろうか。
別の目的もあった。
全国の有料道路の通行券を集めている。長崎北部というのは未踏地帯で、ここからならバイクで回ってこれるので計画していたわけだ。
しかしこの雨、そして体調不全では無理することもない。おとなしく車で走るべきだろう。
わずか数時間（にも満たない）訪問だった林道祭りの会場を後にした。
「次は関西で会おう」と挨拶をして・・・
ハイエースを走らせる。併走する松浦鉄道は一度は乗りたい路線。抜きつ抜かれつを繰り返しながら海岸線をトレースしていく。
平戸は島である。島には橋で渡る。
ところがこの日の荒れ狂う天候は、激しい風をこの界隈に吹かせていた。ハイエースでさえまっすぐに走れないほどの橋の上は、２輪車の通行止めになっていた。予定通りバイクであれば、この先は行けないところだった。
続いて生月島へ渡る。バイクでここへ来て、サンセットラインで夕陽を眺めて・・・というつもりだったのだがあいにくの天気。端だけ渡ってさようなら。
さて、今夜の宿を探さなければ・・・
昨夜２０軒近く電話を掛けまくって確保した佐世保の宿。佐世保へ来たからにはハウステンボスは行っておかなくては。
・・・外から見るだけだけどな。
休みはもう１日ある。しかし、そこはレンタカーの宿命、日程は最初に決めたとおりに進めるしかない。
一昨日は夜に越えた関門海峡も今日は真昼に、しかし雨では何も見えぬ。
サイドシートでは玉城千春が歌っている。なに、ポータブルとは言っても下手なカーステよりはいい音がするものだ。
普段の車から外してきたレーダー装置は、緊急車両まで知らせてくれる優れものだが、ルームミラーいっぱいに写るのはバイクの姿。さっぱりわからぬ。
バイクを快適に運べばこの様にいろいろと車で不自由もする。普段の生活には、俺にはとても扱える代物ではない。だからこそレンタカーなのさ・・・
とは言ってもね。
この雨ではやっぱりバイクで走るのは厭だ。特に電気系に不安のあるバイクを使用している今、雨のことを考えると日数の長いツーリングに躊躇するようになった。雨の中、特に林道ならば走るのは大好きだが、回りに車も多い雨の舗装道路はこの上なく厭だ。
ゴールデンウィークはどちらかと言えば雨の少ない時期というのが印象だが、今年に限ってはトコトン雨に祟られた。無理矢理に近い形で取った連休だったから今ひとつの体調も押して出てきたが、何一つうまく言ったと思えなかったのもまた事実。
ま、こんな哀しいＧＷもあるさ、ってことだね。
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