File45 空気入れ
タイヤの空気圧、ちゃんと調整してありますか?
オフロードバイクの場合、空気圧はかなりルーズだったりしますね。私もXR-BAJAで、なんだか曲がりにくいな?と思ってガソリンスタンドで空気も入
れてもらったら、「前輪、ゼロでしたよ」と言われたことが…え?「そんなのおまえだけだ!」って?あぁそうすか。まあそれは極端な例ですけど、林道などを
走るときかなり低圧にする場合があるので、そのまま入れるのを忘れていることも多いようです。
空気圧の違いは、わずか0.1kgでも実は結構影響があったりします。とにかく低圧にしてグリップを稼ぐ、てなシチュエーションならまだしも、特にオン
ロードを移動中は適正空気圧かそうでないかで、コーナリング時の旋回制がかなり変わってくるはずです。やはり定期的に調整しておきたいものです。
例えば自転車などは、空気圧の減少がそのまま走りの重さとして脚に影響してくるため、オートバイ以上に適正空気圧の維持に気を
つかいたいもの。しかし、「タイヤの空気は自然に減って行くもの」という常識を知らない人があまりにも多いため、町中で見かけるママチャリの大半がつぶれ
たタイヤのまま走っています。そこで、最近では某「自転車メーカーとしても有名なタイヤメーカー」が、「エアハブ」なるものを商品化しています。ハブの中
に回転によるポンプ機構を設け、常に適正空気圧(ママチャリなので3kgとか)を保つのだそうで。確かに便利なのでしょうが…そのぐらいのことは自分で
ちゃんと管理できるようにしたいものです。メーカーがメーカーだけに、そのうちオートバイの世界でもスクーターあたりから採用されてくるかもしれません
が、出来れば私たちはそんなものの世話にはなりたくありませんね。
空気圧の調整に必要なもの。エアゲージ?まあそれももちろん要るんですけど。まずは空気入れでしょう。
私事ではありますが、つい最近新しいフロアポンプを購入しました。ロードレース用自転車(以下ロード)に使う高圧ポンプで、160PSI(11kg)ま
で充填可能なもの。オートバイなら空気圧は1.5kg〜2.2kg程度ですが、ロードは2cmぐらいしかない極細のタイヤに最低でも7kg以上の空気圧を
必要とするので、並のポンプでは役に立たないわけです。
Planet Bikeという、あまり聞いたことのないアメリカのメーカーで、モノは台湾製。奇抜な外観だけでなく、非金属製で約1kgと非常に軽量なため、まるで玩具のようですが、性能的には間違いないものでした。購入価格は3000円ぐらいです
自転車のバルブは、以前はママチャリなどの英式バルブと、より高圧に耐えるためスポーツサイクルに採用されている仏式バルブの
2種類がほとんどだったので、自転車専用の高圧ポンプがいくら高性能でもオートバイには使えないものばかりでした。しかしMTBの登場以後、車やオートバ
イと同じ米式バルブも採用されるようになったため、最近のポンプはほとんど仏式/米式の2種類に対応で、オートバイの整備にも問題なく利用出来るようにな
りました。
さて、自転車用高圧ポンプの実力は?
ストマジのタイヤでテストしてみましょう。一度バルブを外し、空気を抜ききった状態から適正空気圧(今回は2kgとしてます)まで充填してみたところ、
およそ70回のポンピングで完了しました。時間にして1分程度の作業ですね。なにしろ高圧なポンプなので、2kg程度ではポンピングが重くなることもあり
ません。
エアゲージが付いているため、簡単にピッタリ合わせることが出来ます。一応後でチェックしましたが、結構正確な数字を表示してくれるようです。
フロアポンプは、家庭用として最も一般的な空気入れでしょう。写真は以前使っていたモノで、ホームセンターで1000円程度でした。安く買える、入手しやすいということで、どこの家庭でも一つぐらいはこのタイプがあるのではないでしょうか。
タンクのあるタイプの方がより高圧に耐えると言われていますが、実際これを買い換えたのは、通勤に使っているロードの空気を入れようにも、圧力に負けて
最低限の7kgまでも入れられなかったからです。一応、オートバイや車程度ならなんとかなるのですが、高圧のレベルが違いすぎますか。
ただ、やはり安物の感は否めないものです。同様のテストを行ってみたところ、2kgまで120回のポンピングを要しました。同
じフロアポンプでもこれだけ差が出るわけで。一応、このポンプでXR-BAJAのタイヤ交換時にビードの出るところまで加圧出来た経験があるので、ひとま
ずこの程度のものでも大丈夫かとは思いますが。ただしゲージが付いていないため、入れる/ゲージで測る/抜く、を何回か繰り返さないと空気圧をピッタリ合
わせることが出来ないのは面倒。値段的にもそう大きな差があるとは言えないですし、わざわざバイク整備用として買うことは勧められないですね。所詮は一般
家庭用でボールやママチャリに空気を入れる程度のものでしょうか。
自転車用のポンプは、携帯用でも良いモノが多くあります。以前は「フレームポンプ」と言って、フレームの前三角にはめ込む長さが一般的でしたが、今はボトル台座にステーで付けるものが主流。もちろん、オートバイにも流用可能なものばかり。
私の手持ちは定評のあるZefalのミニポンプ。非常にコンパクトですが、2段階に伸びる機構のため見た目より効率が良く、ロード用を謳っているだけ
あって8kgまでの高圧充填が可能です。口金のパッキンを裏返すことにより、米/仏の2種類に対応します。少し大雑把なPSI表示ですが、エアゲージも付
いていて便利。値段はこれも3000円程度です。
このポンプでも、ストマジのタイヤを2kgまで充填することができます。ただし、ポンピングはおよそ250回必要でした。これ
を多いと見るか少ないと見るか…まあ1回のポンピングで入る量が少ないですからね、致し方ないところです。ただ、圧力は十分にあるので、2kgぐらいなら
ばポンピングの重さが変わることはありません。タンクバッグの中にでも忍ばせておける大きさなので、オートバイのツーリング用装備にも最適ではないでしょ
うか。
オートバイ用として販売されていた携帯ポンプは、以前は少し大きめのものでないと十分な性能が無く、携帯性のみを重視する場合は使い切りのボンベなどに
頼らざるを得ませんでした。ボンベはあくまでもエマージェンシー用で、空気圧の調整に使えるものではないので(今は小出しに出来るアダプターもあるみたい
ですが)、前述のように林道に入るときに減圧してしまうと、舗装路に出ても元に戻すことは出来なかったわけです。
この手の携帯ポンプならフルサイズオフのタイヤにも十分使えますから、1本持っていて損は無いでしょう。
空気入れと言えば、こういうのもありますね。カーバッテリー駆動のミニコンプレッサーです。バイクの整備用としてはピンと来ないかもしれませんが、トランポツーリングならこういうタイプを使う機会もあると思います。
しかし機能的には…ちょっと納得のいくものではないですね。「200PSI充填可」を謳っていながら、とてもそこまでの高圧充填は出来そうにありませ
ん。モーターに負荷がかかるため連続使用は20分以内に限られているんですが、ストマジのタイヤでさえ2kgまで5分以上かかります。ロードは絶対無理だ
と思って、折り畳み自転車に使ってみましたが、どれだけやっても適正空気圧(4.6kg)まで入りませんでした。
コンパクトなので常に車に入れて置いても邪魔にならないのは良いんですが、結構音が大きくて住宅街の中で使うのは気が引けるし、実際機能的にも役不足と
いうのでは意味がありません。もう少し値段の高いものならちゃんと機能するんでしょうか…私のは2000円程度ですから。
バイクショップはインパクトレンチなどのエアツールも使うため、大型のコンプレッサーを備えているのが一般的ですが、そう高く
ないものとはいえ、なかなか個人が家に置けるものではないはずです。チューブレスタイヤの交換などもしようと思ったらコンプレッサーが無いとダメですけ
ど、チューブ入りのオフロードタイヤなら高圧のフロアポンプがあれば十分でしょう。
洗車同様、空気圧のチェックも自分で簡単に出来るメンテナンスの一つ。使い勝手の良い空気入れを一つ備えて、こまめにチェックするようにしましょう。
文・写真 : 河村 敬
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