File44 150mmのスケール

 寸法を測る道具を「もの差し」と言います・・・て、誰でも知っていますね(笑)英語ではscale。
 小学校なら30cmのもの差しでしたね。機械設計の世界でもスケールは30cmです。最長では2m程度のものもあります。

 しかし、そんな長いものは持ち運びに困る。常に携帯して使える長さとなると、15cmのものになります。この長さ、メーカーも呼称「15cm」として売っているものと「150mm」として売っているものがあります。基本的に「mm」が単位となる機械では「150mm」のものが使われます。
 バイクも機械です。部品はmm単位で測る方が良い大きさですよね。cmでは表せない細かさですから。

 そんな150mmスケール。一般的に使われるのは、ステンレス製のもの。SUS420やSUS440という材質が使われ、焼き入れにより硬化させたものです。薄くて固く、弾力性があるから曲げても曲がったままになりにくい。曲面を測るとき、穴開け用のけがきを行う時にも使います。
 スケールですから測るのは当たり前。ところがそれだけではなく、いろいろな使い方が出来るのです。



 まずは「切る」。

 ・・・そりゃいくらなんでも鉄やプラスチックは切れませんが、紙やビニール程度なら切れます。
 特に、ガムテープの切断には便利です。段ボールなどに使われているガムテープ(クラフトテープ)を切って開封する際には十分な切断力があります。またビニールパッケージを開ける際にも、中身を傷つけることなく切れるなどの利点もあります。



 ま、切るのはある意味インチキですが、「削る」ことに関してはかなり強力なものです。
 特にプラスチックのバリ取りにはこれが一番と思われます。切断時などに出た角のかえりを取るために削ってみると・・・



 左はカッターナイフで削ったものです。ところどころ食い込んでしまい、深く削れてしまっています。
 そして右がスケールで削ったもの。表面は少し荒れていますね。これは繊維を切断したのではなくて分離させたというような感覚でしょうかね。荒れてはいますが、面としては均一です。

 鋭利なナイフで削ると、削った部分にエッジが立ってしまいがちです。角を面取りして危なくないようにしようとしているのですが、うまくやらないとエッジが残るのではなくて新たに作ってしまう。
 しかし切断力がないスケールで削った場合は、角が丸まっていきます。この方がプラスチックには合っていますね。実際カッターナイフで削る場合も、歯の側ではなく背の方を使いますから。

 スケールそのものが手に触れるものなので、エッジにはなっていません。ごくわずかなRが付いており危なくないようになっていますから。だからプラスチックなどの食い込みやすい材料に対しても安心して使えたりします。

 何かBOSSの顔が痛がっている様な(^^;;;

 さらには「はつり」の作業も出来ます。
 塗装を剥がすなどの工程は塗装の際などによく行うのですが、下地を極力傷つけないためにはつり工具には気を遣います。
 焼き入れ硬化材なので、こうして金属と擦れても大丈夫。そして鋭利すぎないので下地を必要以上に削ることも少ない。ただし、アルミを削る力は十分にあるので、その点は注意が必要ですけどね。
 はつりは塗装だけではなく、ステッカーなどを剥がすときにも必要ありますね。こんな時は特に市販のはつりベラでは強すぎますからこのスケールが一番便利なんですね。

 こうして考えてみると、プラスチックなどが多く使われているバイクにはぴったりのマルチツールなんですよ、これが。車載工具に入れて役に立つようなものではないのですが、整備する際にはなかなか重宝するものですね。
 他にも缶などのこじ開けに使ったり、はさんで置いたり。さらに簡単に穴が開かないことから、ドリルで穴あけを行う際にその先まで貫通させることを防ぐためのついたてに使ったり・・・まだまだ使い道はありそうですね。仕事用だけでなく、私の家庭用工具箱の中にももちろん、入っていますよ。

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