第37話 初乗りは雪の中に

 冬にバイクに乗るなんざ、どこか狂ってるに違いない。
 そうは言っても、学生時代など車がもてるはずなど無い状況なら冬でも当たり前に乗るわけだが。
 就職して車を使うようになると、バイクに乗る機会は減り、特に冬場など滅多に乗ることはなかった。

 しかし、そんなころでもなぜか「初乗り」ってやつをしたくなって走ったものである。

 昨年は冬場のバイクを封印していた。まあ年も年であることだし。今年もそうするつもりだったのだけど。
 バイクの保険が2台とも年明け早々に切れる。そんなところに、某誌のCCRがあった。それも愛知県の山中で。こりゃちょっと初乗りとして、ついでにバイク屋に行ってくるかと。
 愛知県は三河の山中は、今を去ること10年以上前には自分のテリトリーであった。アルテシアに乗っていた頃によく走ったものだ。



 グリーンロードを使って足助へ向かうのは昔から同じなのだが、その姿もかわりつつあった。
 愛知万博を来年に控えた当地、沿線には新交通システムとやらが急ピッチで作られている。またグリーンロード自体も、昔の観光ルートから4車線の産業道路へと進化をしているところだった。



 足助役場前の駐車場でオーバーパンツを脱いでさてこれから林道だ。こんな時期だからなにがあるかわからないからバイクはフサベル。



 意気揚々と最初のダートに飛び込んだらいきなりゲートアウト。ここは通行できないようだ。
 どうやら手前の川渡りから通れる林道がある。

 ・・・しかし。
 この凍った橋はどうしたものか。

 アクセルさえ開けなければ問題なさそうなので坂を降りた惰性で渡る。これは先が思いやられる。
 ダート区間は問題なく、たどり着いたのは昔走っていた長めの林道・・・だが、すでに舗装されて久しい。このさきのルートはわかった。



 ・・・これは・・・

 とりあえず歩いて雪を確認する。柔らかそうだから行ける。しかし、まだ峠に達していないということは、この先の状態がわからない。
 知ったルート、ということで迂回することにした。林道の一本ぐらいパスしたってたいしたことはない。



 このあたり道路が変わってしまっていたが、一番お気に入りだった林道からは変わらぬ風景が見られた。雪の深い地域ではないから冬でも山は青いままだ。
 林道もほとんど雪の影響はない。複雑に入り組んだ山だが、どこを走っているのかがわかっているので安心して走っていた。

 意外に長い時間走っていたことに気づいた。この林道がメインか。
 距離のある林道は徐々に標高を上げていく。あと1kmほどでダートも終わるだろう。

 やはりここにも雪があった。
 ここまでかなり走ってきたので戻るのも何だが・・・



 歩測してみた。
 しかし雪は透明な氷になっているところがあり、そのわずか数メーターが難しそうだ。

 時には引き返す勇気も必要。

 もうすこしで目的に達するところだったが、自分の腕ではいくらかの無理をしなければならないと感じた。ここで引き返すことに決めた。
 一人で走っていたから、無理は出来なかった。ただ、一人だったから、引き返す決定を下せたのかも知れない。

 ・・・しかし、最後には一人であったことが災いしたのだが・・・
 まあ、例によって編集後記でも見てくれ。

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