其の三 矢ノ川峠

 国道42号線はいくつもの峠を越えて山から海へと下ってゆきます。
 そのいくつもの峠の中でも、尾鷲と熊野を結ぶ矢ノ川峠はもっとも難所と言えます。

 今でこそ立派な広い舗装道路と長いトンネルで結ばれており、大型車や軽自動車でも楽に越えることが出来ます。この道が出来たのは昭和42年。
 それまでは細い峠道を国鉄のバスなども通っていたようです。

 その旧道は、今では廃道となり通り抜けることが出来なくなっています。通る車が無くなると道はどんどん荒れてくるものです・・・



 国道を尾鷲から向かうと、「矢ノ川峠」の標識と千尋橋があります。その橋の手前にあるダートの入り口が旧矢ノ川峠への道になります。



 道はすでにかなり荒れてしまっています。時期が冬であるだけに、一年中で一番安定している時期でもこの状態。台風の時期はとても大型バイクの通れる状態ではなくなります。写真など撮る余裕のないもっと荒れた箇所がたくさんあります。
 カジバエレファントの足でも、走行は厳しいものでした。大型車での通行は決してお勧めしません。
 特に大型車の場合、登りは車重でトラクションがかかるのでなんとかなっても下りが通行不能になる場合が多いので決して無理しないでください。F650など足の短いバイクではおそらく降りられなかったのでは?と思っています。エレファントのバランスの良さで跳ねさせながらスタンディングで降りてきた状態です。



 昔はこの断面でもバスが通れたわけですね。素堀のトンネルはこれひとつですが、雰囲気があって良い。



 峠に近づくと、熊野の海が見えます。
 途中に三木里への林道分岐がありますが、通り抜けられるのかは未調査です。



 入り口から9.2kmで矢ノ川峠に着きます。ここからは登山道になります。



 峠から熊野方面は、現在では通れなくなっています。
 少し歩いて入ってみますが、すでに完全な廃道です。無理に乗り越えて行ったとしても、途中で橋が落ちており、どうしようもないということです。それでも以前はジムニーなどなら斜面を使って走れたそうですが、今ではそれも不可能になったようです。バイクではもっと無理なようです。絶対にやめてください。



 朽ちた「DANGER」の標識が、ここが道路であったことを示しています。



 尾鷲からの区間が今でもなんとか通れるのは、通信施設があるからです。ここは尾鷲局の管理となるので、尾鷲からは通行の必要があるのです。熊野にとっては必要性のない道になっているので、この道が荒れても手を入れることがなかったわけです。
 これが「林道」であれば、使われて行く必要がありますから今でも通行できる道であったでしょう。また舗装されていたかも知れません。しかし使命を終えた旧道で、沿線が無人地帯とあっては致し方ないところです。



 ここは、富士山の見える峠とされています。
 最南端ではなく、さらに南の大雲取山からも遠望出来るということです。



 ここから見えた証拠の写真が飾られています。
 今日の天気はガスが掛かっており、残念ながらその姿は見えません。

 間には太平洋があり、大量の水蒸気が上がるためにガスが発生するのは当然で、よほど条件の良い時でないと見えないのです。



 かつてここが国道であった頃。峠には小さな茶屋がありました。
 国道としての使命を終えてしばらくして茶屋は閉められました。今ではその跡を見つけることも難しくなりました。

 紀勢地区にも高速道路が延びようとしています。新しい道路が出来るとともに、忘れられていく道路がまたひとつ・ふたつと増えていくのでしょうか。

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