第十二回 カジバ エレファント

 とあるイベントに参加したことがきっかけとなりました。

 参加車両はF650。
 他の参加車の少々手の入った同型車に試乗させてもらって、可能性も見つけることができましたが、帰路で再発したエンジン不調やその他もろもろの限界点も見つかりました。

 そして、同イベントで見かけた1台の車両。
 購入時に探しても見つけることができなかったものでした。



 そのときはただ漠然と眺めていただけですが、帰って2、3日してからネット検索したら、中古車が出ている。
 また2、3日考えましたが、思い切って連絡を取ってみたところ、続いていた商談が不成立で入手可能とのこと!

 そうしてCAGIVA ELEFANTがわが家の一員となりました。



 エレファントは2度のパリダカ優勝を記録しています。このモデルは90年の優勝車をモデルとしたLuckyExplorer(LuckyStrikeのスポンサーカラーで、煙草広告禁止のため文字を変えた)のものです。
 後期型と違い、インジェクション仕様のエンジンを搭載した900ieというモデルで、車体にエレファントの記載はありませんんが、当時のカタログでは記載があるようです。



 購入したのは北九カワサキさん。その名の通り、北九州市の店です。今回は商談から契約まで一切をネット経由で行い、支払いも振り込み、納車に至っては、大阪泉大津までフェリーで無人航送してもらいました。結局一度も現車を見ていませんし、先方とも顔合わせしていません。

 泉大津の港で初対面となりました。大阪南港の航路は自分で積み卸ししないといけないということで、積み卸しも依頼できる阪九フェリーを使いました。
 フェリーは750ccを越えると料金が上がります。まあ車よりは安いですけど。



 年式が91モデルで13年前になるので多くは望みませんでしたが、車体の程度は非常に良い状態で保たれていました。年式相応の塗装ひび割れ等は仕方ありませんが、それ以外は年を感じさせないものです。



 この手の車両の多くが採用するデュアルヘッドライトを装備していますが、プラスチックレンズの質の問題で熱量の大きい高出力バルブが使えません。電源線が強化してあります(PIAAのリレー使用)が、絶対的に光量が不足です。配光も国産車と比較するとやや不満を感じます。



 エレファントの存在感を高めたもの、それがこのエンジンです。
 エンジンは、カジバ製ではなく、当時グループ企業であったドゥカティのLツインが搭載されます。

 エレファントは900と750が知られており(もっといろいろあるようです)、最大排気量の900は大きく分けて2種類に分かれます。
 この型はいわば前期型で、エンジンはインジェクション、フロントサスは正立でブレーキもシングルのもの。後期型はそれぞれデロルトキャブ、倒立サスでダブルディスクとなっています。

 油空冷Lツインのエンジンは不整爆発が特徴で、「トトトントトトン・・・・」といった爆発をしています。
 しかし吹き上がりは非常にスムーズで、中低速もしっかり出ています。



 クラッチは乾式で、油圧で駆動します。ややジャダー音が大きいので、ニュートラルでクラッチつないでおくと壊れた様に聞こえますが、これが普通らしい。
 ミッションは5速で、ギヤ比は低いですね。高回転まで回るエンジンなのでそれで良いでしょう。後期型はこれも6速になるようです。



 ブレーキはNissinで、パッドを含め部品の入手は簡単です。
 面白いのはリヤのブレーキペダルで、マスターシリンダーが前方にあります。車のペダルと思えば違和感があるわけでもないのですが。

 ちなみに後期型はブレンボのデュアルですね。



 独特の造形を持つマフラーは、かなり静かに合わされています。



 フロントの正立サスはマルゾッキの製造によるもの。当時のカジバのコーポレートマークでもある象のマークが配されています。
 リヤは前オーナーにより交換されており、オリジナルの仕様はわかりません。今付いているのも不明なんですが、O社っぽい形状と色ではあります。そうであれば良いのですが。



 シートも張り替えされているのでオリジナルは判りません。このシートは柔らかすぎで細身なので、長距離には向きませんね。要再改造です。
 ガソリンタンクは巨大で22リッターもの容量がありますが造りは細身でライディングに違和感がない。またまたプラスチックタンクで、タンクバッグが付けられないのが悩みの種です。



 サイドスタンドはアルミ角パイプで、十分な強度がありそうです。
 センタースタンドはありません。整備の時にどうするか考えなければ。

 900ccと大きい割りにコンパクトで細身に作られており、車重も乾燥で185kgというのは650ccシングルのF650よりデータ上は軽いほど。
 この手の車両の中では比較的しっかりと足回りが作られていると思いますが、F19インチ/R17インチで、タイヤの選択肢が少ないのが問題です。特にフロントの100/90−19は、F650シリーズと同じサイズでありながら入手できるタイヤが限られています。オフロード系ではMCEカルー2に同サイズがあるはずですが、現在販売リストに出しているショップが見あたりません。車両の特性から言って、D605あたりのON寄りOFFタイヤが欲しいのですが。



 メーターパネルには3つのメーター。油空冷ですから水温計はなく、油温計が付いています。
 9000回転からレッドゾーンになるタコメーターは機械式でエンジンにリニアに反応します。速度計の210kmフルスケールがこの車両の性能を物語っていますね。イタリア製ですからkm表示、vegriaのメーターはF650と同じ。デジタル時計も付いています。



 大きさはこの通りで、F650の置いてあったスペースにすっぽりと収まりました。幅はかなり小さいですね。全長のみ長い。


 この車両は、おそらく並行輸入によるものだろう、と思われます。
 初代オーナーはバイク屋さんであり、メンテナンスは自社でやっていたわけで、今後はその点が問題になるでしょう。カジバジャパンが出来たとは言え、カジバとドゥカティが分裂した今となっては、非常に曖昧な位置関係の車両になってしまいました。部品の入手などかなり問題になるとと思われます。
 エンジンについては、ドゥカティ系のショップを探せばなんとかなるかも知れません。電装系は、必要と有れば国産化(私は基本的にスズキのパーツに交換します)することになるでしょう。車体パーツは・・・どうしようもないですね・・・

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