File42 プロのお仕事

 3万キロを越えたBMW F650 funduro。
 昨年、キャブのフロートに変調を来して交換したのは自分自身の手によるものでした。交換自体は問題なかったようで、その後不具合は出ていません。

 しかし、このバイク、最近頓に燃費が落ちてきています。
 新車当時は別として、以前は23km/リッターほどで平均していた燃費が、今では18km/リッターほどしか走りません。また、このバイクは140km/h程度で頭打ちとなります。
 違反である速度ですが、100km制限となった高速道路、80km以下の車を抜くには120km以上は必要で、そこで後ろから煽られたら左へ避けるまではさらに20km以上の上積みが必要になりますから、そのあたりの速度でも使える必要があります。
 それらの改善をするため、プラグをイリジウムに換えてみましたが、10km以上上積み出来るほどの恩恵がある反面、低速域がまったくダメになりました。燃費は依然低調なままです。

 どうせ燃費が悪いのなら、と、エンジンのチューンアップを目論みました。
 BMW関連の雑誌などを漁り、情報を仕入れた結果、とあるディーラーが取り扱っており、またその店は全国的に有名なカリスマディーラーであることがわかりました。



 そこで、さっそく訪れて相談しました。
 キャブかマフラーか、という問いには、初めてならマフラーから、という回答でしたが、その前に少し見てみましょうか?ということで、そのままドッグ入りとなりました。

 今回の依頼内容は、エンジンの調整です。

 イリジウムプラグに合わせてセッティングしてもらうことにしました。さらにさびが発生していたプラグコードも交換することにし、ノロジーホットワイヤーを選択。オイルをEPLのF650専用ブレンドに交換、エンジン内洗浄のあと、添加剤を投入・・・と。
 そのほか、ステムベアリングの動きが悪くなっていると診断され、これも交換となりました。

 さらにシートの張り替えも御願いする予定でしたが、これはキャンセルしました。
 私のF650は、ほかに比べてシートがどうも薄いようです。同じ品番でしたが、あきらかに2cmほど低い。試しに店のデモカーのシートを付けてみたら、足つきが若干浮くほどに。普段のシートは完全に膝が曲がるので、かなりの差がありました。

 シートはアンコ盛りが必要なので、専門メーカーに別途依頼することにしました。



 BMWディーラーともなればいろいろな車両がありますね。



 全国からBMWユーザーが訪れる様です。
 預けに行った日には、松本ナンバーや静岡ナンバーが。そして、受け取りに行った当日、なんと北海道から来たユーザーが!


 さて、預けること3週間。
 さすがに痺れを切らし、催促をして引き取ってきました。



 ポン付けで調子のでなかったイリジウムプラグは、ノロジーホットワイヤーとの組み合わせを持って、それに合わせたキャブセッティングをしてもらいました。
 結果、低速で失速する現象はなくなりました。

 ・・・こうして現物を見ると、先月作った偽ノロジーとはだいぶ違いますね・・・

 結果、どうなったでしょうか?

 懸案であった最高速の問題は、この個体が6000回転以上回らなかったことにあります。このエンジンは回転にリニアに速度が上積みされます。80kmで3000回転、100kmで4000回転・・・と。そして6000回転で140kmで頭打ちとなっていたわけです。引き取ってからまだ高速は走っていませんので、正確な数字は出せませんが、3速で6500回転まで回ることを確認しました。フィーリング的に、もう少し回りそうです。よって10km程度の上積みは期待できるでしょう。ただしこれはイリジウム装着時点ですでに達成していた領域ですので、今回の整備による物とは言いにくい。効果としては、その結果を保ちながら不具合を抑えたことでしょう。
 オイルへの添加剤投与は、はっきりと効果が判りました。メカノイズが飛躍的に小さくなりました。私は個人的に添加剤を好まないので今後の継続使用については明言しませんが、継続使用で効果を発揮する、と説明がありました。

 エンジンフィールについては、若干ダイレクト感が薄れたと思います。これは好みの問題ですが、安定したことでアイドリングをかなり下げているように感じました。自分の好みでアイドリングをやや高めにして、アクセルの遊びを少なくしてやれば解決すると思います。
 3000回転を越えたあたりでの中速域はかなりよくなった様に思われます。もともと定評のあるダッシュ力が、整備後はさらに強化されました。

 しかしながら自分の目論んでいたエンジン方向性とはかなり異なっており、目的を果たしたとは思っていません。

 ディーラーで整備してもらった本当の効果は何だったでしょうか?

 それはトータルバランスです。
 ステムベアリングを交換、フォークオイルも交換したフロント回りはとても軽くなり、まっすぐ走るようになったうえ、低速でのコーナリングにスムーズさがもどりました。中速域が安定したことと併せて、とても走りやすくなりました。
 それは、新車当時の走りをさらにリファインしたもの、といった感覚になります。

 我々素人が整備をするのは、あくまで対処療法です。悪くなったところにパッチを充てるようなものです。
 ディーラーによる整備はそれとは違います。トータルでの整備がが施されています。

 次回、このディーラーに預けるかと問われれば、現時点ではNOです。
 ちょっとしたすれ違いを感じた部分があるためで、いずれそれが解消すればYESに成りうるでしょう。技術的には評価できるディーラーであると思います。

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