最初に断っておきますが、作業も運用上も危険な内容です。
知識が無い限りご自分での作業は避けてください。
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最近話題のアーシング。
今まで取り上げなかったのは、「電気は見えないからさっぱりわからん」な機械屋である編集者の所為です・・・
というか、こんなもんで効果が出るなら高性能車両は最初から施工されているだろう、というところが大きいですか。
ところが、自動車の世界では、国産では高級車に位置する車両に、メーカーが標準でアーシングしているらしい、ということ。
そんなときに、アーシングをしてみよう、という人柱(笑)が現れましたので、さっそくやってみました。
ショップに行くとアーシングキットが販売されています。
しかし、今回はそうしたキットは使いません。あくまで自分で調達して施工まで行います。
そのために材料を買いに行きましょう。
名古屋近辺では、やはり大須へ行くのが良かろう、と出かけます。電材屋をまわるうちに、「アーシング用」という線があることがわかりました。
それは、通常のKIV線よりも柔軟性と耐熱性を上げた被覆線だと言うことです。色は赤と白がありました。
赤は、一般的にプラス側に用いられる色です。バイクのバッテリーを見ても、プラス側には赤色の線が使われています。対して、アースはマイナス側であるので、赤色の線は本来まずいのではないでしょうか?
自分は判っていても、何かの際にバイク屋他の人が整備等する場合、間違ってプラスに配線されては非常に危険です。
ここは無難に無色透明のものを採用しました。
買ったのは、8sqのアーシングケーブル。白い(透明で線が見える)方がそれです。青いのは5.5sqのKIV線。これは、工具の都合でうまく行かなかったときのための押さえで買ってきました。
接続用の丸端子、そして絶縁用の熱収縮チューブも必要です。
ここで「8sq」とはどういうことか?
「sq」とは「squea = 平方」のことで、要するに8平方ミリメートルということです。すなわち直径にすると、約3.2mmとなります。
今回施工するのはこの車両。カワサキKLX250、後期型のバッテリー搭載モデルです。
エンジンに少し手が入っていますが、電装系はノーマルのものです。
アーシングはいろいろな箇所の例が有るようです。
今回は、
*パワーアップ(点火電流の滞りに対応)目的でシリンダーヘッド周り、
*安定した電源確保の目的でフライホイールマグネット周辺
の2カ所に施工することにしました。
この車両のバッテリー搭載位置は、左サイドカバー内です。
さて、まずはカバー類を外していきましょうか。
サイドカバー、シート、ラジエータシュラウドを外しました。タンクは外さなくても作業できそうです。
この状態でバッテリーは露出しました。バッテリーの+端子は赤のカバーで絶縁されていますが、−端子は剥き出しです。ボディアースするわけですから、カバーしたって同じことですからねえ。
とりつけるねじを決めます。
まさかエンジンにタップを追加するわけにはいきませんから、既存のねじをつかいます。
テスターを当て、負極であることを確認します。このときオイルラインなどは極力避けるのが無難でしょうか。
決めたポイントからバッテリーまでの線のルートを決めます。
このあたりは見栄えにも影響しますから、慎重に検討します。見栄えは主観ですから、オーナーが自分で決めましょう。
今回買ったアーシング線、店で片側の端子を付けてもらいました。
しかし、長さが決まっていなかったので反対側は端子がついていません。
端子を付けるために被覆を剥がします。端子のかしめ部の長さから、10mm程度剥がして見ました。
そして、接続部を保護する熱収縮チューブを20mm程度の長さに切ってケーブルに通します。これを通しわすれると悲惨です。
さて、端子を付けましょうか。
今回使った8sqケーブルにはもちろん8sqの端子を使います。ねじ径は6mm用を用意しました。
問題はここからです。
一般的にホームセンターやカーショップで買える「電工ペンチ」は便利なのですが、5.5sqまでしか対応していません。
ためしに5.5sq用のかしめ位置に合わせてみましたが、これではかしめ不可能です。
そうかと言って、かしめないわけにはいかない。よく半田付けする例を見掛けますが、熱により溶ける可能性が払拭できず、お勧めできません。危険を伴うと思います。(根拠はありません。機械屋の戯言です。あしからず)
そこで一計を案じます。
5.5sqと同等の幅寸法になればいいわけですよね。そこで、楕円につぶしてしまいましょうか。
つぶすのは力で、、、と言いたいところですが、ここは確実にバイスプライヤーでつぶしてしまいましょう。
この様に楕円にしました。一応これだけでもまず抜けては来ない程度まで締まってますが、これをさらに電工ペンチでかしめます。
先ほどとは90°違った方向からかしめるわけです。
これで、うまく加締めることができました。これだけ跡が付いていれば抜けては来ません。抜けるぐらいならその前に切れます。
この後、熱収縮チューブを巻いておきましょう。
先に決めておいたねじに、今作ったケーブルをとりつけます。
そして、反対側の端子は、バッテリーのマイナス極に直接取り付けます。直接接続でないとアーシングの意味がありません。
しつこいようですがくれぐれもプラス極にはつながないように。
運が良くて車両破損、悪ければ爆発します。
線の固定は、車両に付いているケーブルロックを極力活用します。
ロックのない部分は、タイラップで固定します。これもセンスの問題です・・・
最後に、ねじ類の増し締めを完全に行いましょう。これを怠ってゆるんでいては何の意味もありません。
これでアーシングは完成しました。
取り付け施工 : 佐藤賢一
おまけ
市販品はどんな感じなんでしょうか?
これは、近所のホームセンターで売っていたものです。60cmのもので680円での購入です。
サイズは8sqでした。
市販品にはこうしてアースポイントと参考サイズが記載されています。
これは自動車用ですから、20sqなんてのが記載されていますが・・・
せっかく買ったのだから、ちょっと取り付けてみました。取り付けたのはフサベルFE400E、エンジン回りはノーマルの車両です。
さりげなく行きたかったのですが、長さがぎりぎりだったので・・・
使ったねじはマニュアルデコンプが付く車両用のワイヤーホルダーです。
試しに少し動かしてみたのですが・・・
はっきり言って、効果は判りません(苦笑