第24回 国道365号線

 国道365号線は日本海側と太平洋側を結ぶ国道としてはかなり短いものです。
 その北半分は北国街道と呼ばれる歴史の古いルートでもあります。

 南側起点にほど近い地域に住む我々にとって、このルートは北国街道としてではなく、高速道路へのアクセスルートとして使うことが多い。主に北陸方面へ向かうときに名神関ヶ原ICを使うためのアクセスとして、信号も交通量も少なく、近年整備状況の良いこの道は重宝しています。また近江の名山・伊吹山へのアクセスとしても知られています。



 四日市市街から始まるルートは、ほんの数百メートルを477号線と共用している。すぐに分岐は現れ、川を挟んで左右にわかれる。右へ下って直進は左岸を行く477号線、左から右へカーブして橋を渡る右岸が365号線になる。



 しばらくは三重県第一の人口を誇る四日市の市街を行くが・・・



 それもつかの間、周囲はいきなり田園風景になり、道もセンターラインが無くなるなど酷道の様相に。



 近鉄グループが幅を利かす三重県内において、三岐鉄道は特異な存在だ。西武鉄道系列の列車が踏切を通り過ぎる。



 このあたりは水田より麦畑が多い。黄金色の絨毯が一面を埋める。



 ・・・かなりの狭道の様ですな。



 確かに、これではトレーラーは通れないでしょう。普通車がすれ違えるかどうかなどと言う「広い」道などでは到底なく。



 狭い集落を抜けると、ここからは整備された国道の区間となる。ここから先北側起点まではずっとこのように走りやすい道が続く。
 三重県北の藤原連山は冬には雪をかぶった姿が美しい。

 そう、ここからは北の国と言っても過言ではない。



 なぜに国道側が関知式信号なんだ・・・
 要するにそれぐらい交通量が少ないと言うこと。バイパス式の新道を作って国道を改善したものの、それほどの通り過ぎ目的での交通量はなく地域住民は昔からのルートを通る。



 「簡易パーキング」というやる気のないネーミングが素敵。
 簡易と言っても仮眠エリアなどとは比べものにならない。道の駅と呼ぶには何らかの施設が必要なのか。広さやトイレの美しさは道の駅に引けをとらない。



 このあたりは306号線と重複している。この交差点を左へ曲がれば峠越えで彦根へ抜ける306号線。
 365号線はこのまままっすぐに。上石津、多良と快適なルートが続く。



 関ヶ原で名神高速に接続。ここから西へ向かうも良し、北へ向かうも良し。
 問題はこのあたりがゲリラ雪の名所で、冬はたびたび交通渋滞を起こすことだ。冬の交通の見極めは難しい。まあバイクでは関係したくないことではあるが。



 関ヶ原と言えば、西暦1600年・天下分け目の一戦。
 その決戦の地、笹尾山は国道のすぐ側にある。



 西軍の将、石田三成はここ笹尾山に戦陣を構えた。
 序盤押し気味に戦いを進めた西軍では有ったが、東軍・徳川家康の策略は小早川軍の裏切りを約束していた、と言う。
 力はあった。しかし、知力に敗れた。そんなところか。



 笹尾山から古戦場を望む。石田三成はここから戦況を見つめ、敗退を悟り北国街道に逃げた、と言う。
 その北国街道を走っている。



 近江の名山・伊吹山。「伊吹颪」と呼ばれる季節風が関ヶ原のゲリラ雪を呼び、藤原に雪を降らせる。
 乗鞍スカイラインが閉鎖した今、おそらくもっとも高い(値段が)有料道路であると思われる伊吹山スカイライン。しかしその爽快さは乗鞍に引けをとらないものとして人気が高い。関ヶ原ICから10分ほどとアクセスもよく、手軽に高山の雰囲気が味わえる。



 長浜、高月と淡々と進んだ365号線は、ここ木之本で303号線に合流。そしてまたすぐに8号線に合流する。木之本ICを越えてまた単独の国道になる。
 以前は合流することなく木之本の細い町中を抜けていたと記憶しているが、国道としての扱いをするにはあまりに狭く、こうした便宜を図ったのだろうと思われる。



 木之本から余呉へ、北陸道と併走する。
 この区間は数字が書けない速度で流れている。速度に余裕のない単気筒のバイクでは、大型バイクや4輪車に抜かれ続けるほどだ。
 それだけ流れているので、急がなければ高速を使わずに済ますことも出来る。無味無臭な高速道路よりよほど楽しく走ることが出来る。もっとも冬はそうはいかないが。



 余呉の峠で軽量なバイクの本領発揮。見通しは悪くなく、白線で対向車も少ない。
 峠を下る頃には完全にひとり旅に。



 栃ノ木峠にスキー場。ここで近江と北陸を分ける。
 戦国時代、柴田勝家が栃ノ木峠を整備して北国街道のルートが開けた。それまで北陸道木ノ芽峠、万葉古道山中峠を越えていた北陸への往来に、バイパス的な新道を作ったわけだ。そうしたルートであるだけに、それをほぼトレースする365号線は短距離で木之本から今庄を結んでいる。



 その北国街道、栃ノ木峠の麓に板取宿があり、いまもその姿を残している。
 江戸時代には関所も置かれ、徳川家康の子・結城秀康がそれを開設したとされている。



 越前は蕎麦でまた有名である。
 今庄の「蕎麦の里」でいろりの傍にて蕎麦を食う。平打ちの蕎麦は越前独特のもので歯ごたえがあって旨いが、タレが良くない。なかなかタレの美味いそば屋を探すのは難しいものだ。



 再び国道8号線と交わる。ここまではおそらく365号線の方が速いと思われる。なにより快適だし。



 武生の街に出る。ここまでの山岳ルートとうってかわり、ここからは海へ向かうルートになる。



 やがて417号線に合流する。
 ここから先は以前417号線の時に走っているが、重複区間であると思われるものの実際には365号線の記載しかないものだ。



 見覚えのある港で305号線に突き当たり、ここで365号線は終わり。
 太平洋側(伊勢湾最奥部だが)から寄り道ながら数時間、目の前の海は日本海。さては海の幸など・・・

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