第23回 国道55号線

 四国、とりわけ徳島周辺は、近畿地方に住むライダーにとってはわりあい気軽に訪れることの出来る場所だ。
 ただ、オフロードライダーにとっては、その訪れる目的が剣山スーパー林道を走るということに偏ってはいるが。

 そう、私もその一人である。

 徳島から高知へ、というのは上勝町から木頭村へ、というのがデフォルトであって、それ以外のルートはほとんど記憶にない。
 海岸線を行く素晴らしいルートが有るというのに・・・

 その海岸線をトレースし、徳島から高知までを結んでいるのが国道55号線。



 この日から県知事選挙の始まった徳島県庁前が起点になる。



 一般的に「その気」でここまで来ているオフロードライダーならば、ここは直進だろう。内陸へ入れば剣山をはじめとした長大な林道群がひしめいている。
 その多くは比較的走りやすく、まさに長いダートを楽しむに適している。

 もちろん今回は左折して国道をトレースする。



 四国は88カ所巡礼の「お遍路さん」のメッカで、ゴールデンウィークでもある今日はとりわけ多い。
 純粋に巡礼するわけではない我々が通りすがりに立ち寄れる国道沿いに、23番札所の薬王寺があった。



 お遍路さんに混じって軽く参拝していこうか。通りすがりの野次馬の願いなど聞いてもらえるとは思っていないが・・・
 なぜか階段には小銭が撒かれている。要は賽銭なのであろうが、見方を変えれば金を粗末に扱う罰当たりな・・・と言う気もするのだけど。

 再びバイクを南へ走らせる。だんだん海の香りが近づいてくる。



 宍喰の道の駅には温泉がある。海の物などもいろいろ食べられるので寄ってみてはどうだろう。



 近畿から四国へ海を渡るルートとしては、淡路島を走る高速道路と、和歌山から徳島への航路が中心となる。
 そんななか、大阪からここ甲浦を経由して足摺まで行く夜行のフェリーがある。そのルートは室戸岬を回って太平洋を行くもので、目的地の足摺、中継地である甲浦ともに主要港湾都市でないあたりも興味をそそられる航路だ。



 左手の海が大きく開けた。

 それは内海から太平洋に出た、ということだ。

 そしてその先端に位置するのが、室戸岬。



 ついに岬へ。

 室戸台風など過去にいくつも大きな台風の通り道となっている室戸岬。この日は晴れ渡り薙いだ海も、ひとたび荒れると近づくことを拒む。



 GPSで現在地を確認すると、本当の先端では無いようだ。



 本当の先端には、中岡慎太郎の像が太平洋を睨む。
 文明開化の時代を見据えた彼らの目は、今太平洋に何を望むか。


 岬を回った国道は北上を始める。



 安芸の阪神タイガース、春野の西武ライオンズなど、温暖な高知をキャンプ地にしてきた球団は数多い。しかし、来年は阪神もここ安芸には来ない。より温暖な宮崎へその場所を移すことが報じられた。初春の風物詩だった安芸の阪神キャンプ、その球音も来年はこだますることがない。

 左手を走る線路は、近年開通したばかりの第三セクターの鉄道。都市間を結ぶわけではないこの鉄路の将来は?



 国道55号線は南国市で32号線に合流して終わる。
 南国土佐を後にして・・・これからどこへ行こうか?

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