春を迎えに行こう

 3月の声を聞くと途端に暖かくなるような気がする。

 今年は冬が忙しかっただけに、冬の間は完全にバイクを封印していた。春が近づいた頃にバイクは整備のために工場入りしていた。そのうちの1台の整備が終わった、と連絡を受けたので迎えに行こうか。



 「外車」というのは結構面倒なモノで、近所の「なんでもバイク」屋では整備していただけない。であるから普段の整備は自分自身の手に寄るのだが、今回のように電気系にトラブルが、という場合はメーカー直系のディーラーへ持ち込むことになる。
 春日井にあるバイク屋まで走ればたいした距離ではないのだが、公共交通機関で行くにはやや面倒だ。

 こんな時にしか乗らない八風バスに乗り、街まで。そこからJRに乗り換える。普通に考えれば中央西線勝川までの切符を買えば良いのだが・・・



 関西線は名古屋まで。乗り換えを少し先に延ばして、ホームの「名代きしめん」を。名古屋駅に来たらこれを食べなければいけない。それは出張の時でも同じで、必ずその時間はとっておくものだ。きしめんスタンドは全てのホームにあるが、このホームのみオープンスペースで、やや風の強い今日はきしめんの上にトッピングされる鰹節が飛んでしまってどうも良くない。ほかのホームへ行くべきだったか。

 そしてそのまま中央線へ乗り継げば良い。手前の列車は高蔵寺行き普通列車、奥に見えるのはこれも中津川行きセントラルライナー(快速・残念ながら勝川には停車しない)・・・



 が、そんなに素直に行くわけがない。

 東海道線を西へ一駅、枇杷島までの切符が買ってあった。わずか一駅だが、この区間の料金はどうにも納得がいかない。桑名から名古屋市内は320円だが、たった一駅の枇杷島までは410円と急に跳ね上がる。それでも近鉄の桑名・名古屋間よりは安いのだが・・・
 枇杷島の駅に降り立ったのは、開通以来気になっていた路線、第3セクターの城北線に乗るためだ。城北線の終点は、勝川。



 閑散とした車内はローカルな雰囲気が漂うが、車窓は都市のそれである。100万都市名古屋のすぐ外周を走るわけだから高層ビルや密集した町並みが見える。
 またこの路線は、高速道路の東名阪道環状線にほぼ並行している。それが気になっていた所以の一つでもあった。環状線から時折見える城北線の列車はいつも人の気配が無く、新しい路線でありながらいつまで続くのか、という気がしていたからだ。



 大都市近郊を走る列車にバスタイプの運賃箱。どうにもアンマッチに思える。



 枇杷島は平面上で東海道線の隣のホームだった。しかしここ勝川は中央線とは完全に切り離されている。
 高架の途中でばっさりと切り落とされた線路は、本来ならここから勝川駅へつながるはずだった。時代がJRの拡大を求めず、第3セクターとして開通はしたモノの・・・
 それでもまだ将来、中央線が高架化されたときにはつながるかも知れない。あえて名古屋駅をバイパスする必要があるのかは微妙なところなので中央線から東海道線への直通運転のルートになるかはわからないが。

 切符を車内の運賃箱に入れた際に、乗り継ぎ切符を渡されるようだが、意味がわからず受け取らなかった。ここで降りるのだから。しかし、駅の出口はJRの勝川駅改札を出なければならなかった。そのために切符が要るのだ。まあいいだろう、と自動でない改札を通って外へ出た。証拠を求められればデジカメの画像を見せるだけだから。



 さて、前置きが以上に長かったが、預けてあったバイクとご対面だ。
 トラブルの原因は、恥ずかしながら自分の整備不備によるモノだ。バッテリーの端子がゆるんでいたためという。キャブの整備の際にバッテリーを外したことがあり、そのときに締め込みが甘かった様だ。

 まだ時間は昼を回ったところ。朝方からの風も収まったので少し走りに行くのも良いだろう。



 それでも少し肌寒いので、スポーツ店でオーバーパンツを購入。もう薄手のナイロンのもので十分だ。
 ついでに昼飯はラーメン屋でネギラーメン。なかなかバイクは暖まるまでの時間を走ることなく・・・



 先ほど列車で通った高架を見上げる。乗せられている列車に比べて自分で操るバイクはあきらかに自由な乗り物だ。

 どこへ行こうか。

 名古屋高速に乗った。



 わずか1時間ほどで知多半島の先端に近い豊浜の海に着いた。
 知多半島は伊良湖岬と志摩半島の間だから内海であり、波は穏やかだ。夏は海水浴でにぎわう。この季節は子供が少なく、逆に海を見に来る私たちのような人が多い。バイクも多く、街場より春に近いことが感じられる。



 3ヶ月以上走っていなかったワインディングロード。ちょっと慎重にカーブをクリヤする。



 南知多に最近温泉が増えた。
 中でも一番気に入っているのがここ、「まるは・うめの湯」で、露天風呂がなければイヤな私にしては珍しく内湯だけの温泉だ。元はと言えば料理旅館の「まるは食堂」が経営しているので忘年会などでよく利用していたからでもあるのだが。
 塩分の強い濁り湯は保温性が高く、バイクでも湯冷めしにくいのがありがたい。



 調理した魚のアラなどを海鳥のえさにしている。大量に群れる海鳥は海風を受けて自由に空を舞う。
 私たちライダーもこの海風を受けて自由に舞うか。



 豊浜漁港の「魚ひろば」にも顔を出しておこう。焼津や敦賀のそれに比べると小さいが、魚の鮮度は負けていない。
 三河は海老せんべいの産地でもあり、ここでも海老せんべいが買える。



  野間の灯台で海と分かれよう。

 軽い散歩のように、「ツーリング」と気負わない程度の走りも楽しいものだ。さあ、冬眠からさめて春を迎えに行こう!

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